選書アドバイザー 伊藤 嘉浩

伊藤 嘉浩
開拓研究本部 伊藤ナノ医工学研究室 主任研究員
高分子を使った機能性材料の研究を行う。プラスチックのような合成高分子と、DNAやタンパク質のような生体高分子を組み合わせて、役に立つ材料の開発を目指している。
コメント
高校時代、生物の教科書でDNAのらせん構造や遺伝子の働きを学んで以来、生物系の研究書を横目で見ながら、化学の研究に勤しんでいます。
担当テーマ
科学道100冊 2021 未来エンジニアリング
推薦本
2021

『科学史ひらめき図鑑─世界を変えた科学者70人のブレイクスルー』
- 株式会社スペースタイム(著)杉山 滋郎(監)
- ナツメ社 2019年
未来を切り拓くためのひらめきのエンジニアリング
70もの歴史的な発見・発明の奥にあるひらめきの方法を紐解いて図解。グーテンベルクは「既存の方法を組み合わせる」ことで活版印刷を発明。ガリレオは「わかりやすいものに置き換える」ことで落体の法則を発見した。4ページ1テーマで読みやすく、どこを開いてもヒントがいっぱい!
推薦コメント
科学者は「ひらめき」を追い求める生き物です。ユーモアあふれるイラストと、科学技術についての簡潔かつ的確な説明で飽きさせません。どこから読んでも楽しめます。
2021

『ゲノム編集からはじまる新世界─超先端バイオ技術がヒトとビジネスを変える』
- 小林 雅一(著)
- 朝日新聞出版 2018年
10代から知っておきたい ゲノム編集「クリスパー」の驚異
2012年に登場したゲノム編集技術クリスパーにより、遺伝子研究は一気に加速した。「腐りにくい野菜」や「肉量を増やした家畜」を実現し、難病患者を救う。「命」のビジネスに巨大企業が次々と参入する一方で、科学の暴走の危険も指摘される。バイオ技術の基礎知識から最新動向までをレポート。
推薦コメント
2020年には「ゲノム編集」の研究者がノーベル化学賞を受賞。2018年11月には中国でゲノム編集ベビーが誕生する事件がありました。本書はそれらより前の2018年3月の書ですが、内容は生物学の基礎からわかりやすく技術が説明されていて、最後には人への応用の危惧が述べられています。現在進行形の科学技術を知ることができる1冊です。
2021

『人工培養された脳は「誰」なのか─超先端バイオ技術が変える新生命』
- フィリップ・ボール(著)桐谷 知未(訳)
- 原書房 2020年
培養された「ミニ脳」が投げかける新しい生命観
人気サイエンスライターは、自らの肩肉から培養して作られたニューロンの塊「脳オルガノイド」を目の当たりにして考える。これは私なのか?人工受精、iPS細胞などのヒトがヒトをつくるバイオ技術は、細胞と生命、自己と非自己の境界線を揺さぶり続ける。最新研究から「ヒトとは何か」を考える。
推薦コメント
世界最高峰の科学雑誌「Nature」の編集に長年携わった著者が、現在の発生生物学、細胞生物学の状況から今後を洞察した書。内容は少し難しいですが、日本の科学者の名前も随所に記され、日本のこの分野での貢献がうかがえます。じっくり読みたい1冊です。