選書アドバイザー 蒔田 由布子

蒔田 由布子
環境資源科学研究センター 合成ゲノミクス研究グループ 上級研究員
パラゴムノキをはじめ、植物のDNAの配列を解析している。学生時代に好きだったのはアガサ・クリスティーをはじめとする海外ミステリー小説。現在は読書家の家族や友人のお薦め本を読むことが多い。
コメント
中高生時代、科学の本には敷居の高さを感じ、手を伸ばせませんでした。科学道100冊は、そんな敷居を取り除く企画で、例年発表が楽しみです。
担当テーマ
科学道100冊 2021 つながる地球
推薦本
2021

『風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット』
- 宮崎 駿(著)
- 徳間書店 2003年
人類は滅びるべきなのか?宮崎 駿が描く科学文明のその後
映画は序章にすぎなかった!現在の科学文明が戦争で滅びた1000年後。死の森・腐海に覆われた大地で、人と自然の歩むべき道を求めて孤軍奮闘するナウシカは、驚くべき真実にたどりつく。宮崎 駿が10年以上書き紡いだ大作漫画。環境問題への強烈なメッセージ。
推薦コメント
子どもの頃から夏休みごとに10回は映画を見返すくらいナウシカが好きでした。漫画は映画の後の物語も描いているので、ぜひ読んでもらいたいです。研究者にもよく読まれていて、ナウシカを起点に議論をすると、止まらなくなりそうです。私も読み返す度、「腐海はどうしてできたのか?」と考えます。さまざまな視点で読める名作です。
2021

『あなたの体は9割が細菌─微生物の生態系が崩れはじめた』
- アランナ・コリン(著)矢野 真千子(訳)
- 河出書房新社 2020年
腸内の微生物は100兆個 人体という生態系
体には、人間の細胞の9倍もの数の微生物が一緒に住んでいる。人体は多くの生物が共生する惑星だ。なかでも重要なのは腸。腸内細菌のバランスの崩れは、肥満やアレルギー、さらにはうつ病にも関連している。出産時の微生物のやりとりや、食事の大切さ、抗生物質のリスクなど、家族の健康を見直す書。
推薦コメント
腸内細菌の人への影響の大きさに驚かされました。私たちの体型(肥満になりやすさなど)や性格、そしてなんと精神疾患にまで影響があるそうで、今後さらに原因が特定されていくことへの期待が膨らみました。一見関係のなさそうなものにも繋がりがあり、お互いに大きく影響しているということに目が開かされます。
2021

『未来を変える目標─SDGsアイデアブック』
- 一般社団法人Think the Earth(編著)蟹江 憲史(監修)ロビン西(マンガ)
- 紀伊國屋書店 2018年
SDGsはむずかしくない!未来への一歩を始めてみよう
SDGsって言われても、いったい何をすればいいのかわからない?だったら、すでに動き出している世界の人たちを知るところからはじめよう!環境問題やジェンダー、貧困などの分野で踏み出しているたくさんの小さな一歩を、イラストや写真、マンガやクイズで紹介。未来の第一歩はここにある!
推薦コメント
私たちの研究センターは、持続的な社会の実現を目指し、植物の研究をしています。SDGsは世界のさまざまな問題について自分で考え始める、良い入り口だと思います。この本は17の目標ごとにデータが充実。クイズもあって楽しく学べます!