独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、李遠哲博士(台湾中央研究院名誉理事長)※1に、研究所の活性化、国際性の向上に資する著名人に贈る「RIKEN Honorary Fellow(理研栄誉フェロー)」の称号を授与します。理研はこれまでに、2005年11月にノーベル物理学賞受賞者の江崎玲於奈博士、2007年7月にマハティール・ビン・モハマド博士(前マレーシア首相)へRIKEN Honorary Fellowの称号を授与してきました。李遠哲博士は、化学反応素過程の動力学的研究により、Dudley Robert Herschbach博士、John Charles Polanyi博士とともに1986年にノーベル化学賞を受賞され、科学の発展に多大な寄与をされました。また、理研アドバイザリー・カウンシル副議長として、理研の運営に対して多大な助言を頂きました。こうした功績に対して敬意を表し、RIKEN Honorary Fellowの称号を授け、さらなる科学技術の発展のため内外で活躍する牽引力を期待しています。
背景
これまで理化学研究所(理研)では、海外の傑出した研究者を招聘し、研究所の活性化を図るとともに国際性の向上を目的とした「エミネントサイエンティスト」制度を創設し、1994年度から運用を行ってきました。同制度では、発足以来4名のノーベル賞受賞者を含む119名の著名な自然科学研究者を招聘し、共同研究を中心として研究所の国際化と研究者の研究力向上に大きく貢献してきました。
一方、2003年10月の独立行政法人化を契機に、理研の運営を強化し、運営に関する5つの基本方針として「野依イニシアチブ※2」を目標に掲げました。この中では具体的な目標として、国内外を問わず外部のさまざまな分野の方に理研の活動を知ってもらうことを目的とした「見える理研」、質の高い研究を実施するために「研究者がやる気を出せる理研」や「文化に貢献する理研」を掲げています。
また、2004年6月に実施したRAC(国際的諮問委員会)からも、理科系文化と人文系文化の交流の促進や、理研の研究系人材および科学文化を充実させることなどについて助言を受けました。
これらの「見える理研」、「研究者がやる気を出せる理研」、「文化に貢献する理研」、RACからの提言を具体化するものとして、2005年にエミネントサイエンティスト制度を発展的に改正し、新たな制度、「RIKEN Honorary Fellow」制度を創設しました。この制度は、研究分野を中心とした国際性への意識や研究への意欲の増進といった貢献のみならず、科学と社会の関わりや科学者の科学分野以外への意識拡大、新しいインスピレーションの啓発など、より大きな貢献を期待して、称号を授与するものです。
RIKEN Honorary Fellow制度の特色
- 研究分野に限らずさまざまな分野において世界的に傑出した実績、見解を有する外部の有識者の中から、研究所の活性化、国際性の向上に資する者を理研に招聘。
- 授与対象者は、自然科学分野に限定せず、また国際的な意識の点からも国内外の制限をしない。
- 組織及びそこに所属する人々との交流を通して、所員に新しい潤いや活力をもたらすことができる実績を持つ方に対して称号を授与。
- 講演会や意見交換会などを通して所員との積極的な交流を図ってもらい、所員の国際性及び他分野への視野の拡大や新しいインスピレーションの啓発に貢献。
- 世界的な有識者にただ単に称号を与える制度はこれまでも数多くあるが、直接指導を受けて研究者の啓発を図ることを目的として称号を与えることは、他には見られない。
李遠哲博士授与の理由
李遠哲博士は、化学反応素過程の動力学的研究により、Dudley Robert Herschbach博士、John Charles Polanyi博士とともに1986年にノーベル化学賞を受賞され、科学の発展に多大な寄与をされました。また、理研アドバイザリー・カウンシル副議長として、理研の運営に対して多大な助言を頂きました。こうした功績に敬意を表し、RIKEN Honorary Fellowの称号を授けることといたしました。
授与式および特別講演会
日時:平成23年3月4日(金)11:00~12:30
場所:理化学研究所 生物科学研究棟1階 鈴木梅太郎記念ホール
(埼玉県和光市広沢2-1)
特別講演:Science, Society and Sustainability
お問い合わせ先
独立行政法人理化学研究所 人事部人材開発課
Tel: 048-462-6254 / Fax: 048-462-6140
報道担当
独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
補足説明
- 1.
- 李遠哲博士(台湾中央研究院名誉理事長)
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略歴
1936年 台湾新竹市に出生
1967年 ハーバード大学リサーチフェロー
1968年 シカゴ大学助教授
1974年 カリフォルニア大学バークレー校教授
1986年 ノーベル化学賞受賞
1986年 全米科学メダル受賞
1994年 台湾中央研究院理事長
2006年 台湾中央研究院名誉理事長
2008年 国際科学会議理事長
- 2.
- 野依イニチアチブ
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見える理研
科学技術史に輝き続ける理研
研究者がやる気を出せる理研
世の中の役に立つ理研
文化に貢献する理研
授与式および特別講演会の様子