1. Home
  2. 広報活動
  3. お知らせ
  4. お知らせ 2014

2014年3月14日

理化学研究所

研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査中間報告について

要旨

独立行政法人理化学研究所(以下「研究所」)は、発生・再生科学総合研究センター(以下「CDB」)の研究員らがNature誌に発表した2篇の研究論文に関する疑義について、様々な指摘があることを真摯に受け止め、調査委員会を設置して調査を行ってきた。

調査は、現在も継続しており、最終的な報告にはまだしばらく時間を要するが、社会的な関心が高いことを踏まえ、調査委員会が調査を行ってきた6つの項目に対し、これまでの調査で得た結論及び調査継続中の事項について、中間報告を行うものである。

具体的な内容としては、以下の点となる。

  • 2つの調査項目については、調査の結果、データの取扱いに不適切な点はあったが、研究不正には当たらないと判定したこと
  • 継続して調査が必要とした4つの項目があること

なお、現在も継続している調査については、事実関係をしっかりと把握した上で結論を導く必要があり、結論を得た時点で速やかに報告する。

経緯

平成26年2月13日、研究所の研究不正に関する通報窓口に、研究所職員が発表した論文に疑義がある、との相談があった。研究所は同日から直ちに規程に定める予備調査を実施し、その結果、事案の重要性に鑑み、科学的裏付けに基づいた更なる調査が必要と判断し、2月18日に調査委員会(委員長:石井俊輔 独立行政法人理化学研究所 石井分子遺伝学研究室 上席研究員)を設置して調査・審議を行ってきた。

調査対象者

小保方晴子
(CDB細胞リプログラミング研究ユニット:研究ユニットリーダー)
笹井芳樹
(CDB器官発生研究グループ:グループディレクター)
丹羽仁史
(CDB多能性幹細胞研究プロジェクト:プロジェクトリーダー)
若山照彦
(前 CDBゲノム・リプログラミング研究チーム:チームリーダー、現 国立大学法人山梨大学 生命環境学部生命工学科 発生工学グループ 若山研究室:教授)

調査方法

調査委員会は、平成26年2月20日より関係資料の分析・検討及び関係者のヒアリングを行った。

調査対象項目、調査結果等

(1)結論が得られた項目

  • 1.Obokata et al., Nature 505:641-647(2014) Article(以下「論文1」と記載):Figure 1f のd2およびd3の矢印で示された色付きの細胞部分が不自然に見える点については、この図を作製する過程には改ざんの範疇にある不正行為はなかったと判断される。
  • 2.Obokata et al., Nature 505:676-680(2014) Letter:Figure 1b(右端パネル)の胎盤の蛍光画像とFig. 2g(下パネル)の胎盤の蛍光画像が極めて類似している点については、Fig. 2g 下の画像は、本文及び図の説明の中に言及されておらず、規程に定める「改ざん」の範疇にあるが、論文作成過程で図を削除し忘れたという説明に矛盾等は認められず、悪意があったと認定することはできないことから、研究不正であるとは認められない。

(2)調査継続中の項目

  • 1.論文1:Figure 1iの電気泳動像においてレーン3が挿入されているように見える点。
  • 2.論文1:Methodの核型解析に関する記載部分が別の論文からの盗用であるとの疑いがある点。
  • 3.論文1:Methodの核型解析の記述の一部に実際の実験手順とは異なる記述があった点。
  • 4.論文1:Figure 2d, 2eのSTAP細胞からの分化細胞、及びキメラマウスの免疫染色データにおいて画像の取り違えがあったこと及び調査過程で、これらの画像は小保方氏の学位論文に掲載された画像と酷似することが判明した点。
  • 理研の基本的な考え方

    本件に関しては様々な意見が研究所に寄せられるとともに、インターネットや報道でも指摘されているが、研究所としては、これらを以下の4つの視点から対応する必要があると考えている。

    (1)研究不正の有無の確認
    (2)STAP細胞の再現性
    (3)Nature誌2編の論文の取扱い
    (4)今後の対応

    今後の再発防止策

    現時点では中間報告であるが、これまでに判明した点を踏まえ、以下の再発防止策の検討を開始する。

    (1)全所に対する論文作成上の留意点について改めて周知徹底
    (2)研究所としての論文投稿の際の規則(ガイドラインなど)の制定

    今後の対応

    現時点では中間報告であることから、これまでに十分に解明されていない疑義について、研究所として重く受け止め、引き続き厳正な調査を行う。事実をしっかりと把握した上で結論を導く必要があると考えており、これらがまとまり次第、研究所としての対応とともにすみやかに報告する。

添付

※3月14日付けで調査委員会から研究所に報告のあった説明用のスライド資料については、一部に未発表データが含まれるため、該当する一部の画像について公表を控えるべきとの判断から、修正しました。
修正版公表時の説明不足により調査委員会の信頼性を損ねかねない誤解を招いたことをお詫びします。

Top