
『理研ニュース』2019年3月号、本日発行しました!
今月の「研究最前線」は、生物の細胞内で情報が伝達されるしくみと、脳の海馬で記憶をつかさどる神経細胞の働きを、それぞれ独自の手法で調べる二つの研究をご紹介します。
細胞は、外部の環境からの情報をどのように受け取り、細胞内部に伝えていくのでしょうか。その機構の解明は、生物学はもとより医学や薬理学にも大きな意味があります。研究チームは、1細胞をとらえ、構成する化学物質やたんぱく質などを分子単位で観察する「1分子イメージング」が可能な顕微鏡システムを新たに開発。高度な解析の自動化、効率化を実現して、情報伝達に重要な働きをするGタンパク質共役型受容体や上皮成長因子受容体などの動きを調べました。それによって明らかになってきた分子の挙動とは……?
海馬は、記憶をつかさどる重要な脳部位の一つ。そこには動物が特定の場所にいるとき、それに対応して活動を強める「場所細胞」が存在します。場所細胞と記憶の保存、再生にはどのようなメカニズムが働いているのでしょうか。研究チームは、活動するマウスの神経細胞の働きを1細胞ずつ計測できる装置を用い、さらに、光の刺激で神経細胞の活動を自在にコントロールする光遺伝学などの手法を使って、記憶を書き込まれる「記憶エングラム」という神経細胞群の存在を確かめました。この研究は、1980年代に提唱された「記憶インデックス仮説」を裏付けるものとなるかもしれません。
ぜひご覧ください!
目次
- 研究最前線
1分子イメージングで細胞内情報伝達に迫る 情報を関連付けて記憶する海馬の謎を解く
- 記念史料室から
スケッチで見る理研・和光地区の変遷 - FACE
見ると壊れる量子現象を計算に利用する研究者
植物遺伝子を社会に役立てる研究者 - TOPICS
欧州事務所の開所式を挙行
AIPシンポジウム2018年度成果報告会のお知らせ
今年も開催! 和光地区と播磨地区の一般公開
ポスト「京」の名称を募集 - 原酒
千里の道も一歩から