理化学研究所(理研)は、中国浙江省杭州市のサイエンスパーク「杭州未来科技城」に天然物ケミカルバイオロジー連携研究室を設置し、2019年4月19日にその開所式を行いました。
この連携研究室は、杭州未来科技城(以下、「未来科技城」という)という、総面積123平方キロメートルの巨大なサイエンスパークの開発を担当する杭州未来科技城管理委員会から、長田裕之環境資源科学研究センター副センター長の率いるケミカルバイオロジー研究グループが2016年に誘致を受け、2018年9月に理研、杭州未来科技城管理委員会、浙江省常青藤生命科学・物理化学研究院の三者が共同宣言書に調印し、実現したものです。
未来科技城には、ネット販売やIT金融で有名な「アリババ」など、IT系企業が現在約9000社立地し、また浙江大学、浙江工業大学、杭州師範大学など多数の大学もあり、中国のシリコンバレーと言われています。杭州市はこの地をさらに、ライフサイエンス、医療健康産業の集積地としたく、今回の誘致となりました。理研にとっても、海外の地方政府から誘致を受けこのような形で事業展開するのは初めてのことであり、理研の今後の国際連携のモデルケースになると期待しています。
連携研究室では、微生物や植物などから採取した天然化合物から有用物質を探索、同定し、将来的には創薬に繋げるような研究を行います。中国は漢方の国であるため、このような研究に対する需要は多く、また理研は、この連携研究室を中国の天然薬物化学研究のハブとして活用するとともに、日中両国の若手科学技術人材の育成・交流を促進したいと考えています。
開所式は未来科技城内のマリオットホテルで行われました。日中両国から約150名の出席者があり、上海総領事館の福田高幹領事・政治経済文化部長、中国科学技術部、浙江省政府から祝辞をいただきました。理研からは、小谷元子理事(国際担当)が挨拶を述べ、篠崎一雄環境資源科学研究センター長が学術講演を行い、長田裕之環境資源科学研究センター副センター長兼ケミカルバイオロジー研究グループディレクターが連携研究室の研究計画などを説明しました。
開所式集合写真(写真提供:浙江省常青藤生命科学・物理化学研究院)
長田裕之環境資源科学研究センター副センター長兼
ケミカルバイオロジー研究グループディレクターの講演の様子
関連リンク
2018年9月14日トピックス「中国浙江省杭州未来科技城における新たな連携拠点の形成について」