東京大学大学院工学系研究科の関真一郎准教授(JSTさきがけ研究者兼任)らの研究グループは、スキルミオンひも(磁性体中の電子スピンが作るナノスケールの渦糸構造)を利用した信号伝達を実証することに成功しました。渦巻き状のスピン構造であるスキルミオンは、2次元系では粒子のように振る舞うことが知られており、次世代の情報ビットの候補として近年盛んに研究されています。一方、3次元系のスキルミオンは「ひも」としての性質を持つことがわかっていますが、このスキルミオンひもがどのような応答や機能を示すのか、これまでほとんど明らかにされていませんでした。本研究では、スキルミオンひもの中を振動が伝わる様子を詳細に調べることで、ひもの直径の1000倍以上の非常に長い距離にわたって信号の伝達が可能であること、また順方向と逆方向の伝搬特性が異なるダイオード的な振る舞いが現れることを発見しました。スキルミオンひもの振動は、電線上の電気信号と異なりジュール損失を生じないことから、上記の結果は、スキルミオンひもをフレキシブルで超低消費電力な新しい情報伝送路として活用できる可能性を示しています。
詳細は東京大学大学院 工学系研究科のホームページをご覧ください。
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理化学研究所 広報室 報道担当
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