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2020年9月8日

東京医科歯科大学
理化学研究所

機能的な大腸幹細胞を維持するための新たな仕組みを発見

-炎症性腸疾患の発症原因解明に期待-

東京医科歯科大学・難治疾患研究所・生体防御学分野の樗木俊聡(おおてき としあき)教授らの研究グループは、理化学研究所生命医科学センター粘膜システム研究チームの大野博司チームリーダーらとの共同研究により行った研究成果として、慢性的なインターフェロン刺激が大腸幹細胞の枯渇や機能低下の原因になることを発見しました。

研究グループは、IFNシグナルを負に制御する転写因子IRF2マウスを用いてCoSCを解析しました。その結果、コントロールマウスと比較して、CoSCの数が著しく減少していること、CoSCの大腸上皮再生能の指標となるオルガノイド形成能が低下していることを見出しました。Irf2ΔIECマウスでは、CoSCからtransit-amplifying(TA)細胞への分化が亢進しており、これがCoSC数減少の原因であることが示唆されました。さらに、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を投与して大腸炎を誘導すると、Irf2ΔIECマウスでは、コントロールマウスと比較して、大腸上皮の再生がほとんど起こらず、大腸炎による体重減少が顕著で、マウスが死亡することが明らかになりました。また、野生型マウスに、IFN誘導剤であるpoly(I:C)を低濃度で長期投与すると、Irf2ΔIECマウスと類似のCoSCの機能低下が観察されました。以上のことから、慢性的なIFN刺激は、CoSCの自己複製能を低下させると同時にTA細胞への分化を促すこと、その結果としてCoSCの数が減少することが明らかになりました。また、転写因子IRF2は、IFN シグナルを適性に制御することによって機能的CoSCを維持していることが明らかになりました。

詳細は東京医科歯科大学の報道発表資料をご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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