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2021年3月23日

東京工業大学
理化学研究所
科学技術振興機構

Gタンパク質共役受容体活性化の鍵となる仕組みを解明

-受容体に複数の状態が共存することが明らかに-

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系のチャン・フ・ズイ助教、北尾彰朗教授、理化学研究所 革新知能統合研究センターのアドナン・スリオカ研究員、トロント大学のスコット・プロッサー教授、カリフォルニア大学サンディエゴ校のロジャー・スナハラ教授らの国際共同研究チームは、フッ素19核磁気共鳴法、分子動力学シミュレーション、数理剛性理論を組み合わせることで、ヒトのアデノシンA2A受容体(A2AR)の活性化の鍵となる仕組みを明らかにしました。

A2ARは、Gタンパク質と結合して細胞のシグナル伝達を開始する機能を持つGタンパク質共役型受容体(GPCR)の一種です。がんや動脈硬化など様々な薬のターゲット分子として有用ですが、薬理学的現象に重要であるGタンパク質活性化のプロセスはこれまで十分明らかになっていませんでした。本研究では、核磁気共鳴法によって、A2ARには少なくとも2つの不活性状態と3つの活性状態が同時に存在しており、その共存比率がリガンドの結合やGタンパク質の活性化状態に依存して変化することを明らかにしました。また、分子動力学で得られたA2ARとGタンパク質の複合体立体構造を数理剛性理論で解析することで、A2ARのリガンド結合部位からGタンパク質へ長距離の情報伝達経路を特定できました。本研究でA2ARの活性化の鍵となる仕組みを解明できたことで、A2ARに作用する新たな薬剤の開発につながると期待されます。

詳細は東京工業大学のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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