1. Home
  2. 研究成果(プレスリリース)
  3. 研究成果(プレスリリース)2021

2021年4月14日

東京大学
理化学研究所
日本医療研究開発機構

ベタインはキネシン分子モーターの機能低下による統合失調症様の症状を改善する

-KIF3分子モーターはCRMP2タンパク質を輸送し、ベタインはCRMP2タンパク質のアクチン束化能を改善し神経細胞の形態を整える-

統合失調症は、一般人口の約100人に1人の割合で発症する頻度の高い精神疾患であり、生涯にわたって生活の質が損なわれる可能性が高い疾患です。現在、統合失調症の治療薬は、薬効が不十分であること、また副作用に悩まされる患者が多くいることから、従来とは作用機序の異なる治療薬の開発が喫緊の課題となっています。統合失調症患者の血液中の代謝産物を網羅的に測定した結果、一部の患者で、健常者と比べてベタインの濃度が低下しているという研究成果が報告されています。そこで、東京大学大学院医学系研究科の廣川信隆特任教授(研究当時)、田中庸介講師、理化学研究所の吉川武男チームリーダー(研究当時)、福島県立医科大学の國井泰人准教授(研究当時)らの共同研究グループは、ベタインを補充することが統合失調症の治療に繋がると考え、モデル動物であるキネシン分子モーターKIF3遺伝子ヘテロ欠損マウスを用いた研究を行いました。本研究成果から、ベタインがこのマウスの統合失調症様の症状を改善するとともに、KIF3の輸送タンパク質であるCRMP2の有害なカルボニル化修飾を軽減することにより、CRMP2の輸送障害における神経細胞の形態異常を改善することで、症状を緩和させていることを明らかにしました。ベタインは既に承認されている薬剤であるため、現在、東京大学医学部附属病院精神神経科にて臨床研究を行っており、今後新規統合失調症治療薬としての承認が期待されます。

詳細は東京大学大学院医学系研究科・医学部の報道発表資料をご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
お問い合わせフォーム

Top