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2021年12月23日

東京工業大学
科学技術振興機構
東京大学
理化学研究所
総合科学研究機構
J-PARCセンター

巨大な磁場応答を示す三角格子磁性半導体

-三拍子揃った稀有な磁性材料の発見-

東京工業大学理学院物理学系の打田正輝准教授(理化学研究所創発物性科学研究センター強相関界面研究グループ客員研究員)、石塚大晃准教授(理化学研究所創発物性科学研究センター強相関理論研究グループ客員研究員)らの研究グループは、東京大学大学院工学系研究科の川﨑雅司教授(理化学研究所創発物性科学研究センター強相関界面研究グループグループディレクター)、理化学研究所創発物性科学研究センター強相関理論研究グループの永長直人グループディレクター、東京大学物性研究所の徳永将史准教授(理化学研究所創発物性科学研究センター強相関界面研究グループ客員研究員)、中島多朗准教授(理化学研究所創発物性科学研究センター強相関量子構造研究チーム客員研究員)、東京大学大学院新領域創成科学研究科の有馬孝尚教授(理化学研究所創発物性科学研究センター強相関量子構造研究チームチームリーダー)、総合科学研究機構の大石一城副主任研究員(理化学研究所仁科加速器科学研究センター中間子科学研究室客員研究員)らの研究グループと共同で、磁性を担う元素が三角格子をなす新しい磁性半導体を開発し、磁気秩序温度よりもはるかに高温から巨大な異常ホール効果を発現させることに成功しました。

打田准教授らは、希土類元素であるユウロピウムが特徴的な三角格子を形成しているヒ化ユウロピウムEuAsに着目し、分子線エピタキシー成長によるEuAs単結晶薄膜の作製に成功しました。系統的な測定の結果、EuAsが1)低いキャリア密度、2)強い交換相互作用、3)有限のスピンカイラリティという、巨大な異常ホール効果の実現に必要な三拍子が揃った稀有な材料であることを発見しました。さらに、理論計算が予測する通り、異常ホール効果により電流が曲げられる割合を示す異常ホール角が0.1を超え、この巨大応答が磁気秩序温度よりもはるかに高い温度から現れることを明らかにしました。今回の成果は、スピンが非共面的に並んだ構造が、半導体において巨大な磁場応答を生み出すことを示しており、トポロジカルな磁気秩序構造を持つ磁性半導体の材料開拓と、その巨大磁場応答を利用したスピントロニクスデバイス応用につながると期待されます。

詳細は東京工業大学のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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