2025年9月5日
理化学研究所
科学技術振興機構(JST)
病原体を見分ける植物のセンサーをデザイン
-免疫受容体を人工設計し新たな病原体の認識を可能に-
理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター 植物免疫研究グループの白須 賢 グループディレクター(環境資源科学研究センター 副センター長)、ブルーノ・ポクマン・ゴウ 基礎科学特別研究員、門田 康弘 専任研究員らの国際共同研究グループは、植物が病原体からの"危険サイン"を検知するセンサーの役割を持つ免疫受容体[1]をさまざまな種から網羅的に探索する方法を開発しました。さらに、この手法を用いて、多様な細菌を認識する新たなタイプの免疫受容体を発見しました。加えて、その免疫受容体の一部を人工的に改変することで、認識可能な病原体の範囲を拡張する技術も確立しました。
今回、国際共同研究グループは、免疫受容体のうち「パターン認識受容体(PRRs)[2]」に注目しました。そして、病原体由来の物質と直接結合する部分の構造的な特徴に基づいて、PRRsをグループ分けし、そのグループがどのような病原体を認識するかを効率よく調べるためのスクリーニング方法を開発しました。この手法を用いて、細菌が持つ低温ショックタンパク質(CSP)[3]に由来するペプチドを認識する免疫受容体「SCORE」を発見しました。さらに、SCOREのごく一部のアミノ酸配列を人工的に設計し、置き換えることで、CSPを認識する能力を高められる技術を開発しました。
この成果により、これまで時間のかかる交配や品種改良では対応が難しかった多年草や果樹などに対しても、特定の病原体を狙って認識できる"オーダーメイド型"の免疫受容体を新たに導入したり、作物が本来持っている免疫受容体をわずかに改変したりすることで、多様な病原体への柔軟な対応が可能になることが示されました。これにより、病害抵抗性作物の設計が大きく加速すると期待されます。
本研究は、科学雑誌『Science』オンライン版(9月4日付、日本時間9月5日)に掲載されました。

非モデル植物からの免疫受容体(LRR-RLKK-XII)の同定法と受容体改変による認識範囲の拡大
背景
植物は、微生物に満ちた環境で生育しており、絶えず病原体にさらされています。それにもかかわらず健全に成長できるのは、植物の免疫によって感染の初期段階で病原体の侵入を防いでいるためです。
植物免疫の第一の防御ラインとして機能するのが、「パターン認識受容体(PRRs)」という免疫受容体です。PRRsは細胞の表面に存在し、細菌や糸状菌などの病原体が持つ構造的に保存された病原体分子パターン(PAMPs)[4]を感知して、植物の防御反応を誘導します。
これらのPRRsの多くは、「ロイシンリッチリピート型受容体様リン酸化酵素(LRR-RLK)[5]」というタンパク質ファミリーの中の12番目のサブグループ(LRR-RLK-XII)に属しています。このLRR-RLK-XIIは植物において最大級のPRRsファミリーであり、病原体との長い共進化の中で、病原体を認識する役割に特化して多様化してきたと考えられています。一年生植物のモデルであるシロイヌナズナでは10個のLRR-RLK-XIIが存在するのに対し、多年生植物では数百個に及ぶことが知られています。例えば、ブルーベリーでは534個のLRR-RLK-XIIが確認されています。こうした植物種ごとに異なるLRR-RLK-XIIの多様性は、各植物種が病原体との進化的な競争を通じて独自の認識システムを築いてきたことを示しています。哺乳類が抗体の多様性によってさまざまな病原体に対応しているように、植物、特に多年生植物では、LRR-RLK-XIIの数を増やすことで、さまざまな病原体の検出能力を広げてきたと考えられます。
近年、PRRsを作物に導入することで耐病性を付与できることが示され、農業上の利用価値が高まっています。例えば、細菌の翻訳開始因子由来ペプチドを認識するシロイヌナズナの免疫受容体であるEFR[6]をさまざまな植物に導入することで、広範囲な細菌病に対する耐性が実際に付与されたことが報告されています注)。このような背景から、病原体を認識するPRRsの探索と機能解析は、作物の耐病性育種において極めて重要な課題となっています。しかし、現在までに機能が明らかにされたPRRsはごく一部にとどまっており、特にモデル植物ではない多年草や果樹などでは、遺伝学的な解析が技術的に難しいため、PRRsの同定と活用は依然として大きな課題となっています。
- 注)EFRを異種植物に導入することで、細菌病に対する抵抗性が向上することが報告されている。トマトでは青枯病や、かいよう病、タバコでは褐斑細菌病や、タバコ野火病(Nature Biotechnology (2010) 28, 365-369)、ジャガイモでは青枯病(Frontiers in Plant Science (2017) 8, 1642)、リンゴでは火傷病(Horticulture Research (2021) 8, 204)、スイートオレンジではかいよう病や斑状緑化症(Plant Biotechnology Journal (2021) 19, 1294-1296)、コムギではかさ枯病(New Phytologist (2015) 206, 606-613)、マメ科植物であるタルウマゴヤシでは青枯病(Plant Biotechnology Journal (2019) 17, 569-579)、バナナではバクテリア萎凋(いちょう)病(PLOS ONE (2023) 18(9), e0290884)への抵抗性が強化された。
研究手法と成果
本研究では、非モデル植物を含むさまざまな植物から病原体を感知するPRRsを効率よく見つけるため、新しいスクリーニング法の開発を試みました。まず、285種の被子植物のゲノム情報を解析し、LRR-RLK-XIIファミリーに属する約13,185個の候補遺伝子を抽出しました(図1)。次に、これらの遺伝子がコードする受容体タンパク質が持つアミノ酸配列、特に病原体認識に重要とされるロイシンリッチリピート(LRR)領域に注目し、アミノ酸配列の特徴に基づいて似たもの同士を分類しました。さらに、バイオインフォマティクス(生命情報学)の手法を用いたIn silico解析によって、LRR領域の中でも病原体由来分子と直接結合する部分に注目し、そのアミノ酸の似ている受容体同士をグループにまとめました。その結果、合計210の受容体グループをつくることができました。それぞれのグループ内の受容体は、同じ病原体由来分子を認識する可能性が高く、別のグループの受容体とは違う分子を認識すると考えられます。このようにして、同じ病原体由来分子を認識すると考えられる受容体をあらかじめグループ化することができました。その結果、多数の受容体を個別に試すことなく、効率よくスクリーニングを進める体制を構築することができました。

図1 ゲノム情報に基づくLRR-RLK-XIIの網羅的抽出とグループ化
285種の被子植物のゲノムから、合計13,185個のLRR-RLK-XII受容体を抽出した。次に、これらの受容体について、病原体由来の物質と直接結合する領域のアミノ酸配列に着目し、バイオインフォマティクス(生命情報学)の手法を使って、配列の似たもの同士をグループに分けた。その結果、それぞれ異なる分子を認識すると考えられる210のグループを得ることができた。
次に、これら210の受容体グループから代表的な受容体を選び、それぞれの遺伝子をクローニングまたは人工合成し、植物ホルモン「ブラシノステロイド」の受容体であるBRI1のリン酸化酵素領域[7]と組み合わせて、「キメラ型受容体」を構築しました。これは、病原体やその抽出液によって誘導される反応が、外から導入した免疫受容体によるものか、植物にもともと備わっている免疫受容体によるものかを判別するのが難しいという課題を解決するための工夫です(図2)。
BRI1は本来、ブラシノステロイドを感知すると、BES1という因子を脱リン酸化し、植物の伸長や形態形成を引き起こします。本研究では、このBRI1を介したシグナル伝達機構を利用し、キメラ型受容体が病原体由来の分子を認識して活性化すると、BES1の脱リン酸化が起こるように設計しました。これにより、どの受容体が病原体に反応したかを明確に調べることが可能になりました。こうして構築したキメラ型受容体ライブラリー(集団)をタバコ植物に一過性で発現させ、生きたアグロバクテリウム[8]を処理し、BES1の脱リン酸化の有無を指標として、各受容体の応答性を網羅的に評価しました。

図2 BRI1のリン酸化酵素領域を用いたキメラ型受容体によるスクリーニング
LRR-RLK-XIIの細胞外領域とBRI1のリン酸化酵素領域を融合したキメラ型受容体を作製し、タバコ植物に一過性で発現させた。そして、生きたアグロバクテリウムを処理し、BES1の脱リン酸化の有無を指標として、各受容体の応答性を網羅的に評価した。キメラ型受容体を用いることで、タバコ内在性のLRR-RLK-XIIによる免疫反応の活性化の影響を無視でき、キメラ型受容体の活性化を正確に評価できる。
その結果、生きたアグロバクテリウムに応答する7種類の候補免疫受容体が見つかりました。中でも、かんきつ類の一種であるザボン由来の免疫受容体は、アグロバクテリウムだけでなく、他のさまざまな病原細菌も認識したため、国際共同研究グループはこの免疫受容体に注目し、どのような病原体由来の分子を認識しているのかを詳しく調べました。
アグロバクテリウムの抽出液をクロマトグラフィーで分画し、質量分析を行った結果、この免疫受容体が低温ショックタンパク質(CSP)を認識していることが明らかになりました。さらに詳しい解析から、この免疫受容体はCSPの中心領域にある15アミノ酸から成るペプチド断片(csp15)を認識していることが分かりました(図3)。この免疫受容体は複数の病原細菌由来のCSPに特異的に反応したことから、「SCORE(Selective Cold shock protein REceptor)」と命名しました。
興味深いことに、CSPは細菌だけでなく、糸状菌や昆虫などにも広く存在しており、csp15の中央付近に位置する二つの連続したアミノ酸は、生物種ごとに異なっていました。AIを利用した構造予測ツール「AlphaFold3」による解析では、csp15に存在するこの多様性に富む二つのアミノ酸(マイクロコッカス属の細菌由来のcsp15ではアラニン(A)とグルタミン酸(E))が、SCOREの10番目のLRRモチーフ(特徴的な構造)内にあるリジン(K)、アスパラギン酸(D)、フェニルアラニン(F)と直接結合することが予測されました(図3)。
さらに、他の植物種が持つSCOREオルソログ(共通祖先に由来するタンパク質)のアミノ酸配列を比較したところ、免疫受容体全体のアミノ酸配列はよく保存されているにもかかわらず、認識に関わるこの三つのアミノ酸は保存性が低く、植物ごとに多様であることが分かりました。つまり、各植物種のSCOREは進化の過程で、自身が直面する病原体のCSPを効率的に認識できるよう、結合部位のアミノ酸を最適化してきたと考えられます。そして、SCORE側の三つのアミノ酸とcsp15側の二つのアミノ酸の組み合わせが、認識の特異性を決定する鍵であると考えられました。

図3 病原体のCSP由来のペプチドを認識するSCORE受容体の立体構造予測
構造予測ツール「AlphaFold3」を用いて、SCOREとCSP由来のcsp15ペプチドの立体構造を予測した。その結果、csp15の中で生物種ごとに異なる二つのアミノ酸(マイクロコッカス属の細菌由来のcsp15ではA、E)が、SCORE内の特定の三つのアミノ酸(K、D、F)と直接結合すると予測された。さらに部位特異的変異による実験からも、これら三つのアミノ酸がCSPの認識特異性を決定する鍵であることが確認された。
この発見を踏まえて、国際共同研究グループは、SCOREの認識特異性を決めるアミノ酸を数カ所改変することで、認識可能な病原体の幅を広げられるのではないかと考えました。そこで、さまざまな植物種に由来するSCOREオルソログがどのCSPを認識するかを網羅的に調査し、それぞれのSCOREオルソログが持つ三つのアミノ酸をザボン由来のSCOREに導入しました。これは、各植物が進化の過程で特定のCSPに適応する中で獲得した認識特異性を利用し、SCOREの機能を人工的に拡張する試みです。実際、これらのアミノ酸を置換した人工SCORE受容体は、これまで反応しなかった病原体由来のCSPペプチドにも反応できるようになりました(図4)。例えば、SCOREのKDF配列をWFS(トリプトファン、フェニルアラニン、セリン)に置換することで、カンキツかいよう病、アブラナ科黒腐病、イネ白葉枯病、トマト斑点細菌病の原因菌であるキサントモナス属や、害虫であるコナジラミのcsp15を認識可能になりました。さらに、WDA(トリプトファン、アスパラギン酸、アラニン)やKSF(リジン、セリン、フェニルアラニン)への置換により、糸状菌や植物寄生線虫、寄生植物が持つcsp15にも反応することが確認されました。

図4 人工SCORE受容体による病原体の認識範囲の拡大
SCORE受容体の認識特異性を決める三つのアミノ酸を人工的に置き換えることで、従来は反応しなかった病原体由来のCSPにも反応できるようになった。この成果により、植物がもともと持つSCOREに対して、ゲノム編集技術を用いて狙ったアミノ酸を改変することで、特定の病原体に対する耐病性を高める新たな作物設計が可能になったと考えられる。
今後の期待
本研究では、植物が病原体との共進化の中で築いてきた認識特異性の仕組みを解明し、その知見とAIによる受容体の構造予測を融合することで、病原体の認識特異性を精密に操作可能な人工免疫受容体の開発に成功しました。これにより、以下のような応用展開が期待されます。
まず、認識特異性の異なるSCOREや、人工的に設計したSCORE受容体を作物に導入することで、特定の病原体を検知し、免疫応答を誘導できる「人工免疫受容体作物」の開発が可能になります。これは、遺伝子組換え技術を活用して、新たな耐病性品種を創出するための革新的なアプローチとなり得ます。
次に、ゲノム編集技術(例:塩基編集やプライム編集など)を利用すれば、作物が本来持っている免疫受容体のわずかな改変により、認識できる病原体の範囲を拡張することができます。これにより、遺伝子組換え技術による外来遺伝子の導入をしなくても、品種の耐病性を強化することが可能になると考えられます。例えば、カンキツかいよう病やカンキツグリーニング病は、世界で年間被害総額が数兆円に上ると試算される重要病害ですが、かんきつ類の持つSCOREを改変させることで、これらの病原体を認識する能力を付与することが可能になると期待できます。
さらに、本研究で確立した高効率なスクリーニング系を活用すれば、農業現場で深刻な被害をもたらしているさまざまな病原体に対応できるPRRsを迅速に発見することが可能となります。そして、人工的にPRRsを改変する今回の技術を組み合わせることで、作物の種類や栽培される地域ごとの病害リスクに応じた、最適な免疫受容体の設計と導入が可能になると考えられます。こうした技術は、微生物と植物間の相互作用を精密に捉え、それを活用し、改良する「相互作用育種」ともいえる次世代的なアプローチであり、作物生産の向上やCO2削減など、グリーントランスフォーメーション(GX)への貢献が期待されます。
本研究成果は、国際連合が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)[9]」のうち、「2.飢餓をゼロに」「15.陸の豊かさも守ろう」に貢献するものです。
補足説明
- 1.免疫受容体
植物の免疫受容体には細胞膜局在型と細胞内局在型が存在する。細胞膜局在型の免疫受容体は、病原体由来の物質を認識して免疫反応を誘導する。代表例として、病原細菌由来のべん毛タンパク質を認識するFLS2や、細菌の翻訳制御因子を認識するEFR([6]参照)がある。細胞内局在型の免疫受容体は、病原体が感染過程で細胞質に注入するエフェクタータンパク質を認識し、細胞死を伴った強い免疫反応を誘導する。 - 2.パターン認識受容体(PRRs)
植物の細胞膜上に存在する免疫受容体であり、病原体に共通する分子パターン(PAMPs)([4]参照)を認識して免疫反応を誘導する役割を担う。病原体由来の構造的特徴を直接検出し、初期の自然免疫を活性化する。PRRsはpattern recognition receptors の略。 - 3.低温ショックタンパク質(CSP)
細菌や糸状菌、昆虫などが持つタンパク質で、低温ストレス応答に関与する。植物がこれを病原体の危険サインとして認識することで、免疫応答が誘導される。CSPはcold shock proteinの略。 - 4.病原体分子パターン(PAMPs)
病原体に普遍的に存在し、宿主の免疫系によって認識される分子構造のこと。細菌のべん毛タンパク質、糸状菌の細胞壁分解産物であるキチン(窒素を含む多糖類の一種)などが含まれる。PAMPsはpathogen-associated molecular patternsの略。 - 5.ロイシンリッチリピート型受容体様リン酸化酵素(LRR-RLK)
疎水性のアミノ酸であるロイシンを多く含む20~30残基のアミノ酸の繰り返し配列で構成されるロイシンリッチリピート(LRR)領域、細胞膜貫通領域、リン酸化酵素活性を持つ領域から構成される受容体で、植物のさまざまな情報伝達において重要な役割を果たすタンパク質ファミリー。LRR領域で基質を認識し、タンパク質のリン酸化反応を介して細胞内へと情報を伝える。LRRはleucine-rich repeat の略。RLKはreceptor-like kinaseの略。 - 6.EFR
細菌の翻訳因子であるEF-Tuに由来する保存性の高いN末端ペプチド(elf18)を認識する、アブラナ科植物特異的なPRRs([2]参照)の一つ。EF-Tuは細菌のタンパク質合成に必須の因子で、多くの細菌にわたって高度に保存されている。EFRは、EF-Tu receptorの略。EF-Tuは、Elongation Factor Tuの略。 - 7.リン酸化酵素領域
リン酸化酵素はタンパク質にリン酸基を付加する活性を持つ。このリン酸化は、基質タンパク質の構造や活性化などに影響を及ぼす。リン酸化酵素の多くは細胞内の情報伝達において重要な役割を果たす。細胞膜局在型の受容体様リン酸化酵素(RLK)は細胞膜の外側に外界からの刺激を感知する領域を、細胞質側にリン酸化酵素領域を持つ。これにより、RLKは外部からの刺激を認識するとリン酸化酵素反応により細胞質の因子へと情報を流す。 - 8.アグロバクテリウム
植物に感染してクラウンゴール(根頭がん種病)と呼ばれる腫瘍様の病変を引き起こす植物病原細菌。この菌は、感染時に自らのDNAの一部を植物細胞のゲノムに組み込む能力を持っている。この特徴を生かし、アグロバクテリウムは現在、遺伝子組換え技術における代表的な遺伝子導入ツールとして広く利用されている。研究現場では、植物に外来遺伝子を導入するための実験材料として日常的に使用されている。 - 9.持続可能な開発目標(SDGs)
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するための17の目標、169のターゲットから構成され、発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいる(外務省のホームページから一部改変して転載)。
国際共同研究グループ
理化学研究所 環境資源科学研究センター
植物免疫研究グループ
グループディレクター 白須 賢(シラス・ケン)
(環境資源科学研究センター 副センター長)
基礎科学特別研究員 ブルーノ・ポクマン・ゴウ(Bruno Pok Man Ngou)
専任研究員 門田 康弘(カドタ・ヤスヒロ)
技術基盤部門 生命分子解析ユニット
ユニットリーダー 堂前 直(ドウマエ・ナオシ)
専任技師 鈴木 健裕(スズキ・タケヒロ)
Marc W Schmid社(スイス)
研究員 ミシェル・ウィラー(Michele Wyler)
研究員 マーク・シュミッド(Marc W Schmid)
フリードリヒ・アレクサンダー大学(ドイツ)
教授 マルカス・アルバート(Markus Albert)
研究支援
本研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業基盤研究(A)「アポプラストにおける植物-病原体相互作用(研究代表者:白須賢)」、同基盤研究(B)「植物による線虫認識機構の解明(研究代表者:門田康弘)」「植物の膜貫通型受容体(様)キナーゼを介した植物寄生線虫の認識機構の解明(研究代表者:門田康弘)」、同特別研究員奨励費「害虫抵抗性を付与する植物免疫受容体の同定(研究代表者:白須賢)」、同挑戦的研究(萌芽)「アグロバクテリウムのステルス化による植物の形質転換効率の向上(研究代表者:門田康弘)」、文部科学省新学術領域研究(A)「不均一環境変動に対する植物のレジリエンスを支える多層的情報統御の分子機構(研究領域代表者:松下智直)」の計画研究「不均一土壌環境に応答した寄生植物の感染統御機構(研究代表者:吉田聡子)」、科学技術振興機構(JST)革新的GX技術創出事業(GteX)「GXを駆動する微生物・植物「相互作用育種」の基盤構築(研究代表者:野村暢彦、JPMJGX23B2)」、同先端国際共同研究推進事業(ASPIRE)「植物の誘導リプログラミングに立脚した新規バイオエコノミー基盤の創出(研究代表者:杉本慶子、JPMJAP2306)」、RIKEN TRIPユースケースフィールドオミックスによる助成を受けて行われました。
原論文情報
- Bruno Pok Man Ngou, Michele Wyler*, Marc W. Schmid*, Takehiro Suzuki, Markus Albert, Naoshi Dohmae, Yasuhiro Kadota#, Ken Shirasu# *These authors contributed equally to this work. #Corresponding author., "Systematic discovery and engineering of synthetic immune receptors in plants", Science, 10.1126/science.adx2508
発表者
理化学研究所
環境資源科学研究センター 植物免疫研究グループ
グループディレクター 白須 賢(シラス・ケン)
(環境資源科学研究センター 副センター長)
基礎科学特別研究員 ブルーノ・ポクマン・ゴウ(Bruno Pok Man Ngou)
専任研究員 門田 康弘(カドタ・ヤスヒロ)

発表者のコメント
本研究で構築したスクリーニング系により、これまで解析が難しかった多年生植物からも免疫受容体を見つけ出すことができるようになりました。この手法を用いることで、さまざまな病原体に対して植物がそれぞれの進化の中で築いてきた免疫受容体を明らかにし、それを作物の病害抵抗性の向上に活用していけると考えています。(ブルーノ・ポクマン・ゴウ)
免疫受容体のほんの数カ所のアミノ酸を換えるだけで、認識できる病原体の幅を大きく広げられたことは、驚きでした。今後はこの技術をさまざまな作物に応用し、幅広い病原体に対応できる耐病性作物の開発につなげていきたいと思っています。(門田 康弘)
それぞれの植物種は、長い進化の過程で病原体と向き合いながら独自の免疫システムを築いてきました。本研究は、そうした"自然の知恵"を読み解き、それを活用して免疫受容体を人工的に進化させるという新たな可能性を示したものです。この技術を通じて、持続可能な農業の実現に貢献できることを期待しています。(白須 賢)
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