理研DAY:研究者と話そう!「『富岳』×AIで起こす技術革新!」
理研は、オンラインで研究者と直接話ができるイベント「理研DAY:研究者と話そう!」を、6月30日(金)18:00-18:30に開催します。
「富岳」は世界トップクラスの大規模スーパーコンピュータで、科学シミュレーションやデータ解析など、幅広い分野に利用されています。「富岳」の計算パワーによって、これまで解けなかった問題をより高速に解けるようになり、社会課題の解決に向けた革新的な取り組みが可能となります。一方、AI(人工知能)は、コンピュータに人間の考え方を真似・再現させる技術です。画像・音声認識、自然言語処理、機械翻訳、自動運転、ロボット、医療診断、金融予測など、さまざまな分野で活用されています。最近では、ChatGPTや NovelAI など、AIの技術を誰でも利用できるようになってきましたが、実はこれらのAI技術を使うためには、大きなスーパーコンピュータの利用が不可欠なのです。
今回の理研DAYでは、スーパーコンピュータ「富岳」の紹介、「富岳」をはじめとしたスーパーコンピュータとAIがどのように関係しているか、そして私たちが実際にどのように研究を行っているか、その技術についてお話しします。



理研DAY
研究者って、どうやって研究をしているの? 普段はどんな⽣活をしているの?
そんな疑問、質問を研究者に聞いてみませんか。
開催日 | 2023年6月30日(金) |
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時間 | 18:00-18:30 |
登壇者 | 佐藤 賢斗 チームリーダー(計算科学研究センター 高性能ビッグデータ研究チーム) |
テーマ | 「富岳」×AIで起こす技術革新! |
対象 | 小学生~大学生、一般 |
視聴方法1 | Zoomでの参加(予約不要)
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視聴方法2 | YouTubeでライブ配信予定。 視聴URL: YouTube 理研DAY:研究者と話そう!「『富岳』×AIで起こす技術革新!」(終了しました) |
アンケート | 理研DAY アンケート アンケート回答者には、「富岳」のバーチャル背景と当日使用スライドデータをプレゼントします! |
お問い合わせ | 理化学研究所広報室 event-koho [at] riken.jp ※[at]は@に置き換えてください。 |
当日に答えられなかった質問の回答
- Q. 富岳にはGPUがないですが、どのように高速化するのでしょうか?
- A. 富岳のCPUではSVEと呼ばれるSIMD演算機が搭載されておりそれを活用することで高速化が可能です。
- Q. この富岳は何人ぐらいが共同して使っていますか?
- A. 理研だけでなく、大学、研究機関、企業の方約3000人が使用しています。
- Q. 富岳で生成AIを学習するのに、どれくらいの時間がかかるのでしょうか? 電気代は、どれくらいになるのでしょうか? 目安で結構です。
- A. 生成系AIの種類にもよりますが、数週間から2,3ヶ月かかります。電気代は20~30MW程度の電力で数週間から2,3ヶ月使用した額の電気代になります。(詳しくは電力会社のHPを参考に計算してみてください。)
- Q. ChatGPTはなにを学習しているのでしょうか
- 入力された文章(単語の列)の次に出現する可能性が最も高い単語を出力するように学習しています。“日本” “で” “一番” “高い” “山” “は” の単語の列が与えられた時に、“富士山” の単語の出現確率が学習データの中で一番高ければ、“富士山” を出力します。
- Q. 日本で地震や津波のスパコンによる予報が使えるのはいつごろからですか?
- A. 地震や津波がいつどこで発生するかを正確に予想するのは難しいですが、発生してからの被害状況を予測するためにスパコンは既に使われており、ハーザードマップの作成に役立っています。
- Q. ニューラルネットワークで行われる深層学習は最も効率がいいのですか?人間の脳をまねるより効率の良い方法はないのですか?
- A. 対象とする問題によっては、その問題に適したより単純な機械学習を用いたようがより効率が良いことがあります。例えば大量のデータを分類したい場合には、生成系AIを用いるより人間の脳を真似ていない古典的な機械学習手法であるクラスタリングを用いた方がより早く正確に分類ができます。
- Q. ニューラルネットワークはスパコンを使って人間のように考えることができるとのことですが、もうすぐ人間を超えてしまうのでしょうか?いつごろでしょうか?
- A. 何を以て人間を超えたか?の基準にもよりますが。計算速度、記憶力、簡単なプログラム生成ならニューラルネットワークの方が既に優れているといえます。AIを搭載した人型ロボットが人間に対して物事を教える日が来るのは、技術的な課題が多くあり、まだまだ遠い未来だと思います。理由としては、人間は5感の情報を駆使して次の行動を判断しますが現在のAIではまだ課題が残ります。マルチモーダルAIとして盛んに研究されています。次の理由は、人間と同等かそれ以上に迅速かつ安定して動くロボットを作るのにはまだ技術的に難しそうです。特に長時間の稼働を可能にする軽量かつ大容量バッテリーや何かしらの方法で電力を供給システムの開発、省電力技術が必要だと思います。
- Q. ニューラルネットワークは人間の脳の情報伝達を真似ているという事ですが、脳のしくみなどの生物の知識も必要になってくるんですか?将来AIの研究をしたいと思っている高校一年生で、物理を選択しようと思っていますが、もしかして生物の方が良いのでしょうか?
- A. AI研究において物理学の知識を活かすこともできますし、生物学の知識を活かすこともできます。両方大事だと思います。ニューラルネットワークは生物の脳の情報伝達を数式化したように、いくつかの計算パターン、アルゴリズムは生物学的なの仕組みを応用したものもあるので生物学の知識を生かすことができます。一方、物理は数学に密接に関連しているので、ニューラルネットワークを数式化した後は数学の話なので、物理学、特に数学の知識も活かすことができます。AIは総合的学問で生物や物理だけでなく広い知識が必要とされます。