理研シンポジウム: 小型中性子源RANS開発とその利用について
理化学研究所では、「いつでもどこでも中性子」利用を目指して、現場のニーズに合わせたコンパクトな中性子源計測システムというコンセプトのもと、複数の小型中性子源システムの高度化開発を進めてきています。陽子線線形加速器をベースとした最初の理研小型中性子源システムとして2013年1月よりRANSが稼働を開始し、その実績をもとに、現場モデルとしてのRANS-IIが2019年にそれぞれ稼働を開始し、広い範囲での利用実績を重ねています。具体的にはものづくり現場やインフラ現場で利用可能なコンパクトな中性子源としての中性子計測技術の高度化開発、インフラ非破壊計測技術の高度化を実現してきました。
インフラ非破壊計測を実現する屋外非破壊計測システムとして、可搬型の車載型加速器小型中性子源RANS-III開発において中性子発生用の陽子ビームの加速が実現しました。喫緊の課題として取り組んでいる、塩害予防保全を目指した、橋梁点検車に搭載可能な超小型中性子塩分計RANS-μがあり、ついに実橋梁での塩分計測定が実現されました。
宇宙における中性子利用や中性子による物質科学分野でのサイエンス研究、さらに中性子そのものの寿命計測など未解決の問題があります。本年のノーベル賞対象となった「量子もつれ」に関しては、中性子干渉実験によるアプローチなどもあり、こういった広い科学研究分野はまさに今後理研小型中性子源が現在挑戦し始めている課題です。
本シンポジウムでは、最新の理研小型中性子源システムRANSプロジェクトにおける、ものづくり、インフラ産業、宇宙分野へ利用から最近の中性子サイエンスへの展開まで、広く中性子について3年ぶりのオンサイト開催にて議論を深めていきます。
開催日 | 2022年11月30日(水) |
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時間 | 9:00-17:15 |
対象 | 研究者 |
言語 | 日本語/英語 |
場所 | 理化学研究所 鈴木梅太郎記念ホール 埼玉県和光市広沢2-1 |
主催 | 理化学研究所 光量子工学研究センター(中性子ビーム技術開発チーム) |
共催 | ニュートロン次世代技術研究組合、東京工業大学 科学技術創成研究院、ゼロカーボンエネルギー研究所 |
協賛 | J-PARCセンター、土木研究所、精密工学会、日本機械学会、日本中性子科学会、中性子産業利用推進協議会、日本放射光学会、日本加速器学会、日本金属学会、日本材料学会、日本鉄鋼協会、日本物理学会、日本原子力学会、加速器・ビーム科学部会(ほか、調整中) |
後援 | 宇宙航空研究開発機構(ほか、調整中) |
詳細 | プログラム詳細は下記ホームページをご参照ください。 2022年度RANS シンポジウム ついに始まった中性子現場利用 - 中性子のものづくり・インフラ産業での利用とサイエンスへの挑戦 - |