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2009年5月22日

理化学研究所

緊急研究開始:新型インフルエンザの簡易検出法の開発に向けて

独立行政法人理化学研究所オミックス基盤研究領域(OSC、林崎良英領域長)は、政府による新型インフルエンザの早期診断法の開発などを目指す緊急研究※1の一環として、東京大学医科学研究所感染・免疫部門ウィルス感染分野(河岡義裕分野長)との密接な協力体制のもと、オリジナル技術であるSmartAmp法※2を用いて、新型インフルエンザを容易に検出する方法の開発に取り組んでいます。

新型インフルエンザの世界的流行が拡大する中、医療機関で容易に感染の有無を診断する方法が緊急に必要とされています。今回の研究は、簡便、迅速かつ正確な病原体診断方法を開発し、半年以内に現場での実用化を目指すものです。仮に、現在の感染拡大がいったん収束しても、今冬には感染の第2波が来る可能性も懸念されており、予防法および検査手法を確立することは重要な意味を持ちます。

OSCでは、これまでにSmartAmp法を応用して、Aソ連型、A香港型インフルエンザウィルス、およびそれぞれのタミフル耐性株の検出法を確立しました。この方法では、それぞれのウィルスに特徴的な複数の遺伝子変異を正確に検出することで、ウィルスへの感染の有無を正確に検出することができます。インフルエンザウィルスはRNAウィルス※3であるため、SmartAmp法で検出するには、逆転写酵素を用いてDNAに変換する必要があります。しかし、反応条件などを調整することで、RNAをDNAに変換する逆転写反応と、DNA増幅・検出反応を同時に行うことができるようになったため、診断のために必要な時間や操作は従来のSmartAmp法とほとんど変わりません。

インフルエンザウィルスのSmartAmp法による検出の流れの説明図

インフルエンザウィルスのSmartAmp法による検出の流れ

現在OSCでは、この方法を新型インフルエンザに適用して、ウィルスを検出するための試薬の開発や条件の最適化を行っています。最適化の後、インフルエンザウィルスを扱うための専用の施設のある東大医科学研究所と共同で、ウィルスRNAとウィルス粒子を用いてウィルスが検出できることを確認し、大阪府立公衆衛生研究所にて患者から採取したサンプルで実際にテストを行います。さらに国立感染症研究所ならびに国立国際医療センターの協力を得、臨床現場での活用を目指します。

お問い合わせ先

独立行政法人理化学研究所 オミックス基盤研究領域
領域長 林﨑 良英
Tel: 045-503-9222 / Fax: 045-503-9216

浜研究推進部 企画課
Tel: 045-503-9117 / Fax: 045-503-9113

報道担当

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715

補足説明

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