独立行政法人理化学研究所(理事長 野依良治)と財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI、理事長 白川哲久)は、国立大学法人東京藝術大学(学長 宮田亮平)の協力を得て、「SPring-8特別企画-夢の光が照らす文化と歴史-」と題する講演会を来る2010年11月20日(土)午後1時から平城遷都1300年に因んで奈良県新公会堂能楽ホール(奈良市)において開催します。
大型放射光施設SPring-8※の高性能放射光は、「夢の光」といわれ、物理学、化学、工学、物質科学、生命科学、地球科学、エネルギー・環境科学等、多くの学術分野の研究において革新的な成果をもたらしてきました。さらに自動車、半導体、リチウムイオン電池、太陽電池、ヘルスケア等、産業のあらゆる分野での開発研究で利用され、企業における製品開発・製造のために不可欠の分析ツールとなっています。
また、放射光は文化財や考古学といった研究分野においても積極的な利用が始まっています。例えば、3世紀頃に製作された三角縁神獣鏡の成分分析や17世紀の古九谷などの陶磁器片の成分分析が行われるなど、金属、陶器、繊維、顔料など広範な文化財に適用され、祖先の文化・芸術・宗教への理解を深める重要な手段となりつつあります。
このような状況に鑑み、今回の企画では、最先端分析ツールであるSPring-8の文化財研究への貢献を、吉村作治(早稲田大学 名誉教授)氏の講演などを交えて一般の方々に広く知っていただく機会を提供します。
併せて、文化財研究におけるより高度かつ有効な利用のため、文化財・考古学研究者に広くSPring-8について知っていただき、また関係者間の相互理解を深め、「文化財」と「放射光」の融合による文化財科学の新たな展開を拓く機会を創出することが目的です。
講演会概要
日時 | 2010年11月20日(土)13:00~16:30(12:00開場) |
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会場 | 奈良県新公会堂 能楽ホール (奈良県奈良市春日野町101) |
主催 | 独立行政法人理化学研究所、財団法人高輝度光科学研究センター |
協力 | 国立大学法人東京藝術大学 |
後援 | 文部科学省(予定)、奈良県、奈良市、独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所、社団法人平城遷都1300年記念事業協会、財団法人大阪科学技術センター |
定員 | 450名(往復ハガキにて要事前申込、10月12日(金)(消印有効)まで申し込み期限を延長しました) |
対象 | 一般の方(但し、未就学児は不可) |
参加費 | 無料 |
講演会専用 ウェブページ |
プログラム
13:00~13:05 | 開会挨拶 |
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13:05~13:10 | 来賓あいさつ |
13:10~13:40 | 基調講演 宮迫正明 (東京藝術大学大学院 文化財保存学専攻 教授) タイトル:アートとサイエンスの融合 |
13:40~13:50 | はじめに 高田昌樹(理化学研究所 放射光科学総合研究センター 副センター長) タイトル:夢の光を創るSPring-8 |
13:50~14:15 | 講演 杉山淳司(京都大学 生存圏研究所 教授) タイトル:ひとかけらの木材からわかること、知りたいこと |
14:15~14:40 | 講演 佐藤昌憲(奈良文化財研究所 客員研究員) タイトル:放射光赤外分析で探る古代の絹織物 |
15:05~15:30 | 講演 中井 泉(東京理科大学 理学部 教授) タイトル:X線で古代エジプトを探る |
15:30~16:20 | 特別講演 吉村作治(早稲田大学 名誉教授) タイトル:科学の力で歴史の謎を解く |
16:25~16:30 | 閉会挨拶 |
お問い合わせ先
播磨研究所 研究推進部 企画課
Tel: 0791-58-0900 / Fax: 0791-58-0800
財団法人高輝度光科学研究センター 広報室
(担当:木村、山田、岡田、前田)
Tel: 0791-58-2785 / Fax: 0791-58-2786
kouhou [at] spring8.or.jp
※[at]は@に置き換えてください。 〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
報道担当
独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
補足説明
- 1.
- 大型放射光施設SPring-8
- 兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高の放射光を生み出す理化学研究所の施設で、その管理運営はJASRIが行っている。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8GeVに由来。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のこと。SPring-8では、この放射光を用いて、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われている。