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2017年5月9日

理化学研究所

日本郵便から「理化学研究所創立100周年」切手、発売中!

玉木明主任切手デザイナー(左)と林智恵子係長の写真 玉木明主任切手デザイナー(左)と林智恵子係長

日本郵便株式会社が毎年50種類程度発行する特殊切手(シリーズ切手、グリーティング切手、記念切手の総称)。その2017年度の題材の一つに、「理化学研究所創立100周年」が選ばれました。一機関の周年事業が採用されるのはまれということで、大変光栄です。モチーフとなったのは、①黎明(れいめい)期の理研の製品、②スーパーコンピュータ「京」、③113番元素ニホニウム(Nh)、④植物、動物組織の顕微鏡写真、⑤重イオンビームで開発した新種のサクラ、の五つです(表紙・写真1)。理研が抱く自身の百年のイメージを、いい意味で大きく裏切るデザインです。 郵便局で誰しもが見掛けたことがある、きれいな切手シート。実際にどのように制作されているのかはあまり知られていないのではないでしょうか。そこで、理研の切手デザインを担当してくださった日本郵便 切手・葉書室 主任切手デザイナーの玉木 明さんと、プランニング担当係長の林 智恵子さんにお話を伺ってきました。

(問)特殊切手はどうやってデザインを決めるのでしょうか。

林:シリーズ切手やグリーティング切手は、日本郵便が独自で企画していますが、記念切手については、毎年各省庁を通じて題材となり得る候補を集めます。その中から5件程度が採用されます。切手・葉書室には、デザイナー7名、私のようなプランナーが3名います。通常、6名のデザイナーを三つのチームに分け、それぞれのチームにプランナーが1名就きます。玉木は6名のデザイナーを束ねる立場ですが、自身も担当を持ちます。年間約50件ですから、デザイナー1名当たり7~8件のデザインを担当しています。

(問)理研の切手制作を担当していかがでしたか。

玉木:科学には興味があるので、やりたい!という気持ちと、幅広い分野の研究をしている理研をどうやって1枚の切手シート上で表現するかという課題の難しさとで、複雑な心境でした。創立百周年記念式典に合わせた4月26日の発行日に間に合わせるためには、実質3週間弱でデザインを完成させなければなりませんでしたし。

林:理研側から提供された素材は、偉大な科学者たちのポートレート、研究成果による発明品、大型実験装置群など、どれも重厚なものばかり。正直、玉木と共に頭を抱えました(笑)。というのも、切手購入者の多くが女性のため、動植物などのきれいなデザインや、柔らかい色調の絵柄が好まれるからです。

玉木:理研の施設の見学もさせていただきましたが、説明してくださった方々の熱意がとても印象深いですね。ニホニウムをメインにし、113番元素を合成する過程を一目で分かるようなデザインにしようと心に決め、高校生と中学生の子どもの理科の教科書を読んで、原子や分子からおさらいをしました。

(問)今回のデザインのポイントは。

林:「理研を知らない人にアプローチできるデザイン」がコンセプトです。

玉木:ニホニウムの合成・崩壊過程を表すために、縦長型切手を選択。原子核のイメージは、極限までシンプルな形にして、崩壊過程は金色から銀色へのグラデーションで表現しました。「京」は超並列の計算機であることが伝わるよう、コンピュータのラックがたくさん並んでいるイメージにこだわりました。デジタルでクールなコンピュータの隣には、温かみを出すために理研の昔の発明品を配置。発明品を図案化してたくさん並べるのは、林のアイデアです。ライフサイエンス系のきれいな顕微鏡写真で柔らかいイメージを加え、最後に新種のサクラでほっとしてもらう。ニホニウムを合成した装置群はシートの余白にあしらいました。理研の研究領域の広さ、現在と過去、デジタルとアナログのバランスがポイントです。切手から子どもたちに科学の魅力を伝えられたらうれしいですね。

切手デザインの画像

切手デザイン

この切手シートは、理研創立百周年記念式典が行われた本年4月26日に全国の郵便局などで販売が開始されました。詳しくは日本郵便のホームページでご確認ください。

『理研ニュース』2017年4月号(TOPICS)より転載


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