
『理研ニュース』2019年5月号、本日発行しました!
今月の「研究最前線」は2本とも、ゲノムにまつわる研究を紹介します。
生物はゲノムDNAに書き込まれた情報を読み取りながら、生命活動を行っています。ゲノムDNAは、ヒストンと呼ばれるタンパク質に巻きついてヌクレオソームという構造をつくっていますが、その三次元構造がどのようになっているのか、詳しい解析が求められていました。研究チームは、DNAから次世代シーケンサーで読み取ったデータに分子動力学シミュレーションを組み合わせた新しい解析法を開発し、ヌクレオソームの立体構造を決定することに世界で初めて成功しました。そこから見えてきた興味深い事実とは?
イネ科のモデル植物ミナトカモジグサには、自然交雑とゲノムの倍数化によって生まれた「異質倍数体」の近縁種が存在します。研究チームは、交雑のもう一方の祖先種を加えた3種の植物に高温ストレスをかけ、生育の違いを調べるとともにゲノムを解析・比較しました。異質倍数体は、農作物などの有用植物にも多く見られます。その遺伝子発現のメカニズムが分かれば、高温だけでなく、低温や乾燥など、過酷な環境で育つ植物の開発にもつながるかもしれません。
ぜひご覧ください!
目次
- 研究最前線
全ゲノムの3次元構造を世界最高分解能で解明
複雑な植物ゲノムから有用遺伝子を探し出す - 特集
理研酒─合成酒の発明と事業化の成功 - FACE
有機合成化学で乳がん手術を変える研究者 - SPOT NEWS
コンパクトに折り畳まれたDNAをスムーズに転写する仕組み - TOPICS
高校生のための夏休みイベントのお知らせ
片山さつき内閣府特命担当大臣が理研広島大学共同研究拠点を視察
バイオリソース研究センター 新センター長に城石俊彦氏
新研究室主宰者の紹介 - 原酒
タンパク質危機を救う昆虫食