この度の長尾真国際高等研究所元所長・京都大学元総長の訃報に接し、心からお悔やみを申し上げます。
長尾真先生は情報学の大家であられます。画像および言語という情報メディアを用いて、世界に価値をもたらす知的な情報処理に関する研究に注力されました。防犯カメラの顔認識技術や、郵便番号の読み取り装置に組み込まれた文字認識技術など、ご研究の成果は科学的に先鋭的なだけでなく、身近な技術として一般社会に広く溶け込んでおり、まさに、社会につながる先端科学を体現してこられました。
2016年の第10回、2019年の第11回理化学研究所アドバイザリー・カウンシルでは、その深いご経験と広いご見識に基づき、委員として理研が世界最高水準の成果を生み出すためのご提言をいただきました。
先導的な御研究成果とともに、これまでの多大なる御功績に敬意を表し、謹んで哀悼の念を込め、ご冥福を心からお祈り申し上げます。
2021年5月27日
理化学研究所理事長 松本 紘