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2021年11月9日

理化学研究所

「富岳」を用いたCOVID-19の飛沫・エアロゾル拡散モデルが2021年ゴードン・ベル賞COVID-19研究特別賞ファイナリストに選出

理化学研究所(理研)計算科学研究センター複雑現象統一的解法研究チーム坪倉誠チームリーダー(神戸大学大学院システム情報学研究科教授)らの共同研究グループは、2020年に世界最速のスーパーコンピュータ「富岳」を用いて、詳細かつ定量的なCOVID-19の飛沫・エアロゾル拡散モデルを構築し、感染症疫学のデジタルトランスフォーメーションにはじめて成功しました。この度、本研究が、スーパーコンピュータを用いた科学・技術分野の研究の中で、その年に最も顕著な成果を上げた研究グループに与えられる米国計算機学会のゴードン・ベル賞のCOVID-19研究特別賞最終候補(ファイナリスト)に選出されました。

本研究の開始当時、完成間近であった「富岳」の計算資源を先行活用することで、ハイリスクが予想された日常のさまざまな場面における感染リスクについて、通常のスーパーコンピュータでは到底対応できない膨大なケースを詳細に分析することが可能となりました。そして、感染リスクの定量評価をデジタルトランスフォーメーションすることにより、実験室への物理アクセスが制限された緊急事態宣言下において、モデル作成から結果を得るまでを高速化し、感染状況に応じて社会が必要とする情報を的確なタイミングで、未知のウイルスに対するリスク評価と対策を提案しました。飛沫やエアロゾルの飛散の様子を見える化することで、飛沫エアロゾル感染についての理解と対策の重要性を啓発し、人々の行動に変化をもたらしたことは特筆に値します。

なお本研究は多くの研究支援や学術機関・産業界の協力にてなされたものであり、2021年現在においても継続中です。

また、ゴードン・ベル賞の最終発表は米国ミズーリ州セントルイスのアメリカズ・センター及びオンラインで開催される国際会議において、現地時間11月18日(木)12時30分(日本時間11月19日(金)3時30分)より行われます。

  • 本研究の計算資源の一部は東京大学情報基盤センターと筑波大学計算科学研究センターが共同運営する「Oakforest-PACSスーパーコンピュータシステム」が使用されています。
パーティションの高さの影響の図

パーティションの高さの影響(提供:理研・豊橋技科大,協力:京工繊大,阪大)

研究支援

  • 「富岳」一般課題:「新型コロナを対象とした統合的飛沫感染リスク評価システムの開発と社会実装」
  • 「富岳」成果創出加速プログラム「富岳」が拓くSociety 5.0時代のスマートデザイン
  • CREST「異分野融合による新型コロナウイルスをはじめとした感染症との共生に資する技術基盤の創成」プロジェクト「スパコンによる統合的飛沫感染リスク評価システムの開発と社会実装」(科学技術振興機構)
  • ポストコロナ時代に向けた主要技術の実証・導入に係る事業(内閣官房)
  • スーパーコンピュータ「富岳」政策対応枠「経済活動と感染防止対策の両立の実現のための「飛沫シミュレーション」の実施」
  • 「新型コロナウイルス対策を目的としたスーパーコンピュータ「富岳」の優先的な試行的利用について」(文部科学省/理研)
  • 「スマートライフ実現のためのAI等を活用したシミュレーション調査研究」(内閣官房)

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理化学研究所 広報室 報道担当
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