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2024年10月23日

理化学研究所

「グローバル・コモンズ・フォーラム」を開催しました

10月8日、理化学研究所(理研)は東京大学、東京大学グローバル・コモンズ・センター(東大CGC)との共催で「グローバル・コモンズ・フォーラム」を、東京丸ビルホールにてハイブリッド形式で開催しました。当日は会場とオンライン合わせておおよそ700名の方にご参加いただきました。

理研は現在、「グローバル・コモンズの維持と回復」という地球規模の課題に取り組むために、国際的な連携を始める準備を進めています。グローバル・コモンズとは、地球環境、生態系、自然資源など人類の共有財産のことで、東大CGCは、これらの地球システムを保全するための国際的な枠組みと実行可能な戦略を創出する「グローバル・コモンズ・スチュワードシップ」というプロジェクトを主導しています。理研は、東大CGCとの連携をすでに開始しており、その一環として、国内外のアカデミア及び産業界のリーダーが一堂に会し、より良い未来に向かうための戦略を議論する本フォーラムを開催する運びとなりました。

本フォーラムでは、五神 真 理事長が開会挨拶の中で、「人類はこれまで、安定的な地球環境に支えられて文明を発展させてきたが、豊かさを追求してきた結果、地球環境のバランスは大きく崩れようとしている。今を生きる世界の科学者たちは、危機感と責任感を持って『新たな知恵』を生み出し、地球規模の問題を解決し、社会を変革するための行動を起こすべきである」と語りました。

開会の辞を述べる五神 真 理事長の写真 開会の辞を述べる五神 真 理事長

続いて、「プラネタリー・バウンダリー」(地球の限界)の概念を提唱したドイツ・ポツダム気候影響研究所(PIK)所長のヨハン・ロックストローム(Johan Rockström)氏による基調講演“「プラネタリー・バウンダリー」から「グローバル・コモンズ」へ”が行われました。地球の回復力(レジリエンス)は、回復不能な「転換点(Tipping point)」に近づいていることが地球の健康診断で明らかになったと述べました。そして、グローバル・コモンズを守るためには国境を越えた協力に加え、経済システムも巻き込んだ規模と迅速さを持ったパラダイム・シフトが必要であること、100年、1000年後の地球の状況はこの5~10年間の取り組みに左右されることを研究データを交えて説明し、地球のストレスを緩和し、回復を助けるための公正かつ法的拘束力のあるフレームワークの構築が喫緊の課題であると強調しました。

PIKヨハン・ロックストローム所長による基調講演の写真 PIKヨハン・ロックストローム 所長による基調講演
石井 菜穂子 氏とPIKヨハン・ロックストローム  所長による対話の写真 石井 菜穂子 氏(東京大学グローバル・コモンズ 担当総長特使、グローバル・コモンズ・センター ダイレクター)とPIKヨハン・ロックストローム所長による対話

この基調講演を受け、「Governing Global Commons」、「Nature Positive Economy and Finance」、「Pathway to Carbon Neutrality」、「System Transformation and Resilience」の4つのパネルディスカッションが行われ、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)CEOのピーター・ベッカー(Peter Bakker)氏をはじめとする国内外のアカデミア及び産業界のリーダーにより、グローバル・コモンズを守るための取り組み、現在の経済システムや資本主義のあり方をいかに「ネイチャーポジティブ」に転換していけるかなどについて、活発な議論が行われました。

また、閉会の辞では、東京大学総長の藤井 輝夫 氏が同大学の学生2人とともに登壇し、人類の未来を担う次世代とのディスカッションを展開しました。

フォーラム終了後には、理研・PIK・東大CGCの三者会談を行い、理研からは環境資源科学研究センター、バイオリソース研究センター、計算科学研究センターの研究者が参加しました。グローバル・コモンズ維持のための迅速かつ実行可能な戦略を導き出すために、理研は、その強みである最先端の研究インフラを利用した分子レベルから地球システムに至る多階層科学データの創出や、高品質で豊富なバイオリソース、そして、スーパーコンピュータ「富岳」の高度な計算能力を生かし、世界最高峰の基礎科学に基づいた知見を提供することを提案しました。東大CGCに加え、複雑系データの分析・モデリングおよび統合研究を得意とするPIKとの連携を開始することにより、理研は新たな研究領域を切り開き、グローバル・コモンズの維持という喫緊の課題解決への貢献を目指します。

関連リンク

2024年10月8日シンポジウム「グローバル・コモンズ・フォーラム

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