2024年10月、理化学研究所(理研)情報統合本部は、個人情報を含む研究データを安全に管理しつつ研究を実施することが可能なセキュア解析環境「HOKUSAI-SR」の運用を開始しました。
人を対象とした研究は、医学系のみならずAIやロボットの研究でも盛んになっており、同時にその研究で用いられる人由来の情報に対する、個人情報の保護、生命倫理の遵守、情報セキュリティの確保が重要となります。
理研 情報統合本部 基盤研究開発部門 医科学データ共有開発ユニット(清田 純 ユニットリーダー)は、個人情報保護、生命倫理、情報セキュリティに的確かつ円滑に対応しつつ、個人情報を含む研究データの安全な管理と解析を実現するセキュア解析環境(HOKUSAI-SR、High-performance cOmputing and networK, Unified Storage And Infrastructure - Shielded Room)を開発・構築し、2024年10月にその運用を開始しました。
HOKUSAI-SRは、個人情報を含む研究データを高度なセキュリティで守られた管理区域内において安全に保管する機能、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)※を用いて解析する機能、そして研究者が安全に操作を行う機能などから構成されるシステムです。HOKUSAI-SRを利用することで、これまで理研の個々の研究室で対応してきた個人情報保護、生命倫理、情報セキュリティに関する複雑な手続き等を大幅に簡略化でき、研究開発の加速・効率化に寄与します。また、個人情報の漏えい等のリスクを低減できます。
※FPGA(Field Programmable Gate Array):目的に応じて回路をプログラムすることが可能な集積回路を搭載したサーバー。これにより特定のタスクを高速に処理することができる。