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2025年7月1日

理化学研究所

大阪・関西万博でロボットの実証実験を実施

~こころを感じるロボットと生きる未来を目指して~

2025年5月20日(火)~26日(月)、「EXPO 2025 大阪・関西万博」にて、理化学研究所 情報統合本部 ガーディアンロボットプロジェクトが開発中の3種類のロボットを展示し、約7,000人が来場しました。2019年に始動したガーディアンロボットプロジェクトは、私たちの生活に溶け込みさりげなく手助けをしてくれる、まるで「こころ」があるかのようなロボットの開発を目指しています。今回の出展は実証実験の場でもあり、来場者とロボットとの対話から得られたデータは今後の研究に活かされます。さまざまなバックグランドを持つ人々が訪れる万博は、ロボットへの多様な反応を集める絶好の機会となりました。

ガーディアンロボットプロジェクトが開発中のロボット「Nikola」の写真ガーディアンロボットプロジェクトが開発中のロボット「Nikola」

豊かな表情を持つ「Nikola(ニコラ)」

展示した1体目のロボットは、ヒト型アンドロイドの頭部「Nikola(ニコラ)」です。Nikolaは、喜怒哀楽はもちろん、驚いたり、怪訝な顔をしたりと、まるで人のように豊かな表情を持ちます。人と人とのコミュニケーションには欠かせない「表情」を宿すことで、人と感情的なやりとりができるアンドロイドを目指して開発されました。来場者はNikolaと会話し、友達と喧嘩したとき、夕飯が大好物だったときなど、さまざまなシチュエーションをNikolaに提案しました。するとNikolaは、そのようなとき、どういった表情をするかを考え表現しました。

来場者のリクエストに応え、「不満げな表情」を披露するNikolaの写真来場者のリクエストに応え、「不満げな表情」を披露するNikola

俊敏な動きもサポートする装着型ロボット「Aetro(エアトロ)」

2体目は、腕や足に装着して使うロボット「Aetro(エアトロ)」です。決まった動作やゆっくりとした動作をアシストするロボットはこれまでにもありましたが、装着した人の筋肉の電気信号を読み取り、どのような動きをしようとしているかを推定することで、その動作を瞬時にサポートするのが特徴です。来場者は腕にAetroを装着し、ボールをバスケットゴールへシュートすることに挑戦しました。Aetroを体験した来場者は、「球技は苦手なのですが、Aetroに手伝ってもらうと、少しの力で遠くまで真っ直ぐ投げられたので嬉しかったです。アシストされている感じも少なく、自分一人で投げているのに近い感覚で驚きました」と感想を述べていました。

右腕にAetro を装着し、ボールの投げ入れに挑戦する来場者の様子右腕にAetro を装着し、ボールの投げ入れに挑戦する来場者

人と暮らし成長する「Indy(インディ)」

最後は、人と生活を共にする中で経験を蓄え成長していくロボット「Indy(インディ)」です。家庭や職場など、人が活動する空間で動き回り空間を認識しながら、人の姿勢やジェスチャーといった細かな動作から瞬時にその場の状況を理解することを目標に開発中です。会場では、Indyは来場者に手を挙げて呼ばれると近づいて会話をし、ガーディアンロボットプロジェクトオリジナルのノベルティグッズ5種類の中から来場者の気分に合ったグッズを選んでいました。

来場者から話かけられるのを待つIndy。机に並んでいるのはコースター、エコバック、団扇などのノベルティグッズの様子来場者から話かけられるのを待つIndy。机に並んでいるのはコースター、エコバック、団扇などのノベルティグッズ

プロジェクト初となる大規模な実証実験

会期中、来場者のうち約700人が実験に参加し、これまでガーディアンロボットプロジェクトが行った中で最も大規模なロボットの実証実験となりました。参加した来場者は、「ロボットがいろいろな表情を見せてくれたり、こちらの話を聞こうとしているような姿勢が感じられ、気付いたら人にするように一生懸命コミュニケーションをとっている自分がいました。ロボットは無機質なものと思っていましたが、今回の実験に参加して、ロボットにも話を聞いてもらいたい、分かってもらいたいと初めて感じました」と笑顔で語っていました。

Indyとの対話を楽しむ来場者の様子Indyとの対話を楽しむ来場者

会場で対応した研究者は、「今後ロボットを我々の身近なものとしていくには、皆さんにロボットと触れあっていただき、ロボットに対するイメージや実際に対話してみた感想など、さまざまな意見をいただくことが不可欠です。これほど大規模な実証実験は初めての試みなので不安もあったのですが、たくさんの方が喜んで参加してくださりフィードバックをいただけてホッとしています。得られたデータを解析し、今後の研究に活かしていくのが楽しみです」と話しました。こころを感じるロボットが人と生きる未来に近づくために、研究者の挑戦は続きます。

大阪・関西万博会場内のフューチャーライフヴィレッジの様子実証実験は大阪・関西万博会場内のフューチャーライフヴィレッジにて実施した

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