2025年8月23日、理化学研究所(理研)は科学振興仁科財団と共同で「第31回理化学研究所里庄セミナー」を岡山県里庄町の仁科会館で開催しました。仁科 芳雄 博士の故郷である里庄町に、科学に関心をもつ子どもから大人まで100名以上が集まり、セミナーは大盛況となりました。
仁科博士は、日本の原子核物理学の父であり、理研第4代所長として理化学研究をけん引されました。本セミナーは仁科博士の業績を顕彰する事業として1992年に始まり、コロナ禍による休止期間を除いて毎年開催され、今年で第31回を迎えました。
まず、「時空のゆがみを見る時計 ―光格子時計が測る未来の時間―」と題し、光量子工学研究センター 時空間エンジニアリング研究チームの香取 秀俊 チームディレクターが講演。自身の研究が20年後の未来を変える挑戦であることを強調し、「誰も思いつかないアイデアで歴史を変えよう」「挑戦することが大事」とのメッセージを来場者へ送りました。また、光格子時計の発想から実験に至るまでの道筋を解説し、「量子や相対論が難しく感じるのは、実体験がないだけ。使っていくうちに慣れるので、未来の社会をぜひ皆さんと一緒につくっていきたい」と語り、未来への期待感を会場に残しました。

続いて、「虹と原子核のはなし」と題し、 仁科加速器科学研究センター 核子多体論研究室の木村 真明 室長が講演しました。虹について問いかけ、集まった多様な回答を基に中高生にも分かりやすい数学の知識で虹の現象を解説。その後、原子核にも虹が観測できることや、原子核反応の高精度計算を分かりやすく紹介しました。「式が同じなら、同じ現象が起こる」という科学の原則に触れ、来場者の知的好奇心を刺激しました。

休憩時間には講師たちの前に質問者が列を成すなど、参加者の関心の高さがうかがえました。
理化学研究所里庄セミナーは、来年も開催を予定しています。詳細は理研ウェブサイト等でご案内しますので、科学に興味のある皆さまのご参加を心よりお待ちしています。
関連リンク
- 2025年8月23日イベント「第31回理化学研究所里庄セミナー」