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2025年11月14日

理化学研究所

ヘリウムリサイクル事業「RIKEN-HeLP」開始

-「ヘリウムリサイクル社会」実現へ大きく前進-

理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センターは、使用済みとなったMRI(磁気共鳴画像法)装置からヘリウムを回収し、再び精製・液化した「リサイクルヘリウム」を提供する事業「RIKEN-HeLP(RIKEN Helium Loop Project)」を開始しました。

現在、ヘリウムの供給が世界的な需要の増加に追い付かず不足する「ヘリウム危機」に直面しています。加えて、日本では円安の影響もあり、ヘリウム価格は高騰し続けています。一方で、液体ヘリウムはMRI装置の超伝導磁石を極低温に保つためにも使われていますが、MRI装置の更新時には、使用済みとなったMRI装置の中に残っている液体ヘリウムの多くが気体となって大気中に放出され、十分に再利用できていません。

理研のヘリウム液化施設は長年、理研内でのヘリウム回収・液化・供給のリサイクルループを実現し、極低温研究を支えてきた基盤であり、ヘリウムの回収施設としては国内最大級の規模と高い品質レベルを誇っています。そのポテンシャルを活用して、使用済みMRI装置を液体ヘリウムが入ったまま理研に運び入れ、ヘリウムを効率よく回収した後、再び精製・液化し、リサイクルヘリウムとしてリサイクルする実証実験が成功注)しました。今回、事業化に向けた準備が整ったことから、ヘリウムリサイクル事業「RIKEN-HeLP」を開始しました。

本事業は、日本で初めての試みと考えられ、今後も継続が懸念されるヘリウム危機において、MRI装置メーカーや学術分野における極低温研究者など、ヘリウムが不可欠なユーザーに対して安定的な供給を目指す「ヘリウムバンク」実現への大きな一歩となり、貴重なヘリウムを循環利用する「ヘリウムリサイクル社会」実現のための具体的なアプローチの一つとして期待されます。

ヘリウムリサイクル事業「RIKEN-HeLP」を表すロゴの図

ヘリウムリサイクル事業「RIKEN-HeLP」を表すロゴ

事業協力者の公募について

使用済みMRI装置を埼玉県和光市の理研に持ち込み、ヘリウム回収に協力していただける企業の公募を開始しました。本事業に関心のある企業、機関などはウェブサイト(液体ヘリウムを回収する リウムリサイクル事業「RIKEN-HeLP」|仁科加速器研究センタ)を確認の上、申し込みください。回収したヘリウムの75%(※)を持ち込んだ企業、機関などに返却します。

なお、残りの25%は、精製・再液化および管理の対価として理研に譲渡していただきます。さらに余剰が生じた場合は、国内のヘリウムユーザーへの供給を計画しています。

お問い合わせ

理化学研究所 仁科加速器科学研究センター 低温技術チーム
Email: RIKEN-HeLP@ml.riken.jp

機関窓口

理化学研究所 広報部 報道担当
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