ポイント
- 量子シミュレータが近い将来実現する姿を紹介
1つの量子系を利用して別の量子系をシミュレーションする方法は、科学者が量子力学で取り組んでいる問題の一端を解決する鍵になると期待されています。2009年10月2日に掲載されるサイエンスの論文は、論理と実験の両面で量子シミュレーションが抱える主要な問題を解説するとともに、急速に発展をとげるこの分野の課題と可能性を明らかにします。
米国の物理学者リチャード・ファインマンは1980年代に、「量子物理の法則に従う量子力学的要素でコンピューターを組み立てる」ことを提案しました。
このような量子シミュレーションにより、研究者は、固体物理学や高エネルギー物理学、原子物理学、量子化学、宇宙論など、さまざまな分野の問題に取り組めるようになるでしょう。そして、こうした取り組みは、量子コンピューターでも実現できますが、作製が容易で、より単純なアナログ素子でも可能です。
この論文で、理研基幹研究所単量子操作研究グループデジタル・マテリアル研究チームのフランコ・ノリ(Franco Nori)チームリーダーらは、量子シミュレータが近い将来実現する姿を紹介し、これからの方向性を指し示すとともに、実用化は近いことを示しています。
発表者
理化学研究所
基幹研究所 単量子操作研究グループ
デジタル・マテリアル研究チーム
チームリーダー Franco NORI(フランコ・ノリ)
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報道担当
理化学研究所 広報室 報道担当Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
