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2017年10月12日

理化学研究所
大阪大学
東京医科歯科大学

フルオロアルケンの簡便合成を実現

-創薬や機能性高分子開発への応用に期待-

要旨

理化学研究所(理研)ライフサイエンス技術基盤研究センター分子標的化学研究チームの植竹裕太特別研究員、丹羽節副チームリーダー、細谷孝充チームリーダー(東京医科歯科大学生体材料工学研究所教授)、大阪大学大学院工学研究科の阪口博信大学院生、大橋理人准教授、生越專介教授の共同研究チームは、アルケン[1]の炭素上に複数あるフッ素(F)[2]のうち、一つだけを選択的にホウ素(B)[3]に置き換える化学反応を開発し、医薬品や機能性高分子の部分構造として応用が期待されるフルオロアルケン[1]の簡便な合成を実現しました。

ハロゲン元素の中で最も原子半径が小さいフッ素は全元素の中で最も高い電気陰性度[2]を持つなど独特な性質があります。この特性を生かしたもの作りを目指して、これまでさまざまなフッ素を持つ分子が開発されています。なかでもフルオロアルケンは、タンパク質など生体内に存在する分子に多くみられるアミド結合[4]と似通っていることから、アミド結合に置き換わる構造として古くから注目されてきました。しかし、その合成法が限られていたため、フルオロアルケンを活用した医薬品や機能性材料の開発はあまり行われてきませんでした。

共同研究チームは、フルオロアルケンにホウ素を導入できれば、多彩な反応性を持つホウ素の性質を利用して、さまざまなフルオロアルケン化合物を簡便に合成できると考えました。フッ素とホウ素を併せ持つアルケンの合成法はほとんど知られていませんでしたが、フッ素を複数持つアルケンを原料に、触媒[5]として銅錯体[6]を用いることで、フッ素の一つをホウ素に置き換える化学反応の開発に成功しました。さらに、このフッ素とホウ素を併せ持つアルケンを用いることで、高脂血症治療薬であるアトルバスタチン[7]のアミド結合をフルオロアルケンに置き換えた分子を合成することにも成功し、本手法の実用性を実証しました。

今回開発した手法は、有機合成化学の基本的な技術として、創薬や生命科学研究、機能性高分子の開発などへの応用が期待できます。

本研究は、米国の科学雑誌『Journal of the American Chemical Society』への掲載に先立ち、オンライン版(2017年8月29日)に掲載されました。

本研究成果は、国立研究開発法人日本医療開発研究機構(AMED)「創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業」の研究課題「ヒット化合物の迅速プローブ化技術の高度化による創薬・生命科学研究支援(研究開発代表者:細谷孝充)」、日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)「有機金属中間体を経由する機能性有機フッ素化合物の短段階合成」、公益財団法人 日本科学協会 笹川科学研究助成「新規PETプローブ開発を指向したモノフルオロアルケン類の自在合成法の開発」などの支援を受けて行われました。

背景

フッ素(F)は、周期表の第17族に属する元素(ハロゲン元素)です。同じハロゲン族である塩素(Cl)や臭素(Br)よりも際立って高い電気陰性度を持つことから、フッ素を含む化合物(フッ化物)を活用した医薬品や農薬、機能性高分子などの開発が盛んに行われています(図1)。

特に医薬品開発においては、代謝安定性や脂溶性[8]の向上を目的として、薬剤分子へのフッ素の導入が試みられてきました。その方法の一つが、フッ素がアルケンに結合したフルオロアルケンの合成です。フルオロアルケンは通常のアルケンと同様に高い平面性を持つ一方で、電子求引性[1]のフッ素が結合することにより二重結合上の電荷が大きく偏った特徴的な性質を持ちます。これらの性質が、医薬品やタンパク質など生体内に存在する分子に多くみられるアミド結合と似通っていることから、アミド結合に置き換わる構造として古くから注目を集めてきました(図2)。

また、四つのフッ素を持つテトラフルオロエチレンを重合させて得られるポリテトラフルオロエチレン(テフロン™)[9]は耐薬品性が高い材料として知られており、この他にもさまざまなフルオロアルケンを重合させることで得られる機能性高分子の開発が期待されています。このような応用を目指してフルオロアルケンの合成が試みられてきましたが、従来の方法では望みのフルオロアルケンのみを選択的に得ることは難しく、実用的な合成法の開発が求められていました。

研究手法と成果

共同研究チームは、フルオロアルケンの自在合成法の開発にあたり、ホウ素(B)を持つフルオロアルケンを合成する方法を着想しました。ホウ素を持つ分子は多彩な反応性を示すことが知られているため、ホウ素を足がかりとしてさまざまなフルオロアルケンを簡便に合成できると考えたためです。

まずフッ素とホウ素を併せ持つ分子の合成にあたり、フッ素を複数持つ分子を出発原料に、フッ素の一つをホウ素に置き換える手法を着想しました。大阪大学のチームはこれまでに、テトラフルオロエチレンなどフッ素を多数持つ分子の化学変換法の開発に取り組む中で、遷移金属[10]触媒を用いることでフッ素を一つだけ選択的に他の原子に置き換えられることを明らかにしています注1)。一方、理研のチームは、触媒として銅錯体を用いることで、医薬品によく含まれるフッ化物のフッ素をホウ素に置き換える手法を開発しています注2,3)。共同研究チームはこれらの手法を組み合わせることで、目的のホウ素を持つフルオロアルケンを合成できると考えました。

まず、一つの炭素に二つのフッ素原子を持つアルケンの変換を検討したところ、銅触媒を用いることで最高収率[11]99%という極めて高い効率で、目的のフッ素とホウ素を合わせ持つアルケンを得ることに成功しました(図3)。ただしこの反応で得られるホウ素化合物は、有機合成化学で一般的に利用されるシリカゲルカラムクロマトグラフィー[12]による精製が難しいことが判明しました。そこで、得られた化合物を、結晶性が高く取り扱いやすいトリフルオロボラートカリウム塩(-BF3K)[13]へと変換することで、ろ過操作を行うだけで簡便に精製できるよう工夫しました。さらに本手法は、さまざまな官能基を持つアルケンに適用でき、高い汎用性を持つことを明らかにしました(図3)。

次に、多数のフッ素を持つさまざまなアルケンのホウ素化を試みました。検討の結果、フッ素を二つ持つフルオロアルケンの反応条件を少し変えるだけで、フッ素の数に関わらず、フルオロアルケンのフッ素を一つだけホウ素に置き換えることに成功しました(図4左)。このホウ素化反応の仕組みを調べるため、フッ素を四つ持つテトラフルオロエチレンをモデルとして注意深く検討を行ったところ、フッ素が銅原子に置き換わった中間体が生じることが明らかになりました(図4右)。この結果から、フルオロアルケンのホウ素化においては、フッ素が一度銅に変換される経路を経てホウ素に置き換わる反応機構が含まれている可能性が示されました。

最後に、本手法の実用性を示すため、高脂血症治療薬であるアトルバスタチンのアミド部位をフルオロアルケンで置き換えたミミック化合物[14]の合成を行いました(図5)。まず、今回開発したフッ素をホウ素に置き換える化学反応を用いてホウ素を持つフルオロアルケンを合成し、さらにクロスカップリング反応[15]を経ることでフルオロアルケン構造を持つ化合物を合成しました。その後、2工程の化学変換を経ることで、目的とするミミック化合物を合成できました。

合成したミミック化合物の生物活性はアトルバスタチンとほぼ同程度であり、アミド部位をフルオロアルケンに置き換えても薬としての機能が損なわれないことが確認できました。代謝安定性を持つフルオロアルケン構造の導入により、このミミック化合物は生体内での安定性が向上し、良好な薬物動態[16]を示すと期待されます。

注1)2011年4月22日プレスリリース「有用な含フッ素化合物を四フッ化エチレンから1段階で合成する反応を開発(燃料電池の実用化・普及に貢献)」
注2)2016年2月1日プレスリリース「薬剤分子の新たな化学変換法
注3)Niwa, T.; Ochiai, H.; Hosoya, T. “Copper-Catalyzed ipso-Borylation of Fluoroarenes” ACS Catalysis 2017, 7, 4535–4541.

今後の期待

本手法を利用することでフルオロアルケンの簡便な合成が可能になり、フルオロアルケン構造を持つ医薬品や機能性高分子などの有用分子の開発が加速すると期待できます。また、生命科学研究のツールとしても、フルオロアルケンのフッ素原子を陽電子放射核種(PET核種)[17]であるフッ素18(18F)[2]に置き換えることで、生体内における分子の振る舞いを可視化するPET(陽電子放射断層撮像画像法)[17]への応用が可能になります。今後、研究グループは本手法を用いて、フルオロアルケン構造を持つ生物活性分子の探索と、PETを用いた研究を推進していく予定です。

原論文情報

  • Hironobu Sakaguchi, Yuta Uetake, Masato Ohashi, Takashi Niwa, Sensuke Ogoshi, Takamitsu Hosoya, "Copper-Catalyzed Regioselective Monodefluoroborylation of Polyfluoroalkenes en Route to Diverse Fluoroalkenes", Journal of the American Chemical Society, doi: 10.1021/jacs.7b08343

発表者

理化学研究所
ライフサイエンス技術基盤研究センター 生命機能動的イメージング部門 イメージング基盤・応用グループ 分子標的化学研究チーム
特別研究員 植竹 裕太(うえたけ ゆうた)
副チームリーダー 丹羽 節(にわ たかし)
チームリーダー 細谷 孝充(ほそや たかみつ)

大阪大学 大学院工学研究科 応用化学専攻
分子創成化学コース 有機金属化学領域
大学院生 阪口 博信(さかぐち ひろのぶ)
准教授 大橋 理人(おおはし まさと)
教授 生越 專介(おごし せんすけ)

東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 生命有機化学分野
教授 細谷 孝充(ほそや たかみつ)

研究メンバーの写真 左から、大橋理人、植竹裕太、阪口博信、生越專介、細谷孝充、丹羽節

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産業利用に関するお問い合わせ

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補足説明

  • 1.アルケン、フルオロアルケン、電子求引性
    二重結合を一つ以上持つ脂肪族鎖式不飽和炭化水素の総称。もっとも単純なアルケンは、C2H4のエチレン。フルオロアルケンは、アルケンの炭素骨格にフッ素が結合したもの。電気陰性度の高いフッ素はアルケンの二重結合の電子密度を低下させる(電子求引性)ため、酸素原子により分極しているアミド結合の等価体として注目されている。
  • 2.フッ素(F)
    周期表の第17族に属するハロゲン元素の一つ。全元素中で最も大きな電気陰性度(原子核が電子を引き寄せる強さ)を持ち、塩素や臭素などほかのハロゲン原子とは異なる独特な性質を有している。近年はその性質を活かした創薬研究が盛んに行われている。天然に存在する安定な同位体はフッ素19(19F)のみであり、PETに用いられるフッ素18(18F)などの放射性同位体は人工的に作られる。安定同位体であるフッ素19が9つの陽子と10個の中性子を持つのに対し、フッ素18は9つの陽子と9つの中性子を持つ。半減期は109.8分。
  • 3.ホウ素(B)
    周期表の第13族に属する元素。自然界ではホウ砂などの安定な無機化合物として存在しているが、ホウ素を含む有機化合物は多彩な反応をすることが知られている。2010年のノーベル化学賞を受賞した鈴木章博士(北海道大学名誉教授)が開発した「鈴木カップリング」は、ホウ素の反応性を利用した先駆的な例である。
  • 4.アミド結合
    アミンとカルボン酸の脱水縮合反応により形成される-CONH-の結合。タンパク質を構成するアミノ酸同士のアミノ基とカルボキシ基のアミド結合は、ペプチド結合とも呼ばれる。
  • 5.触媒
    化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しない物質。
  • 6.銅錯体
    銅イオンを中心として、有機分子などが配位結合で形成された複合体。
  • 7.アトルバスタチン
    リピトール®の商品名で市販されている高脂血症治療薬。コレステロールを合成するHMG-CoA還元酵素を阻害することにより、血中のコレステレール値を低下させる。2010年頃までは世界で最も高い売上高を上げた。代表的なブロックバスター(圧倒的なシェアを持つ画期的な新薬)の一つ。
  • 8.代謝安定性や脂溶性
    医薬品などの分子は、酵素による化学変換により体内で化学的に別の分子に変換されることがある。この化学変換を代謝と呼ぶ。医薬品が患部に到達し治療効果を発揮するには、代謝に対する一定の安定性が必要になる。脂溶性は、油分に対する分子の溶解性。一般に水溶性の逆の性質に当たる。脂溶性が低すぎる場合に、医薬品が細胞膜を通過せず、薬効を示さないことがある。代謝安定性と脂溶性は、医薬品を開発する上で重要な性質である。
  • 9.ポリテトラフルオロエチレン(テフロン™)
    テトラフルオロエチレンはエチレンの誘導体であり、4つの水素原子が全てフッ素に置き換わったもの。テトラフルオロエチレンの重合体はテフロン™と呼ばれ、フッ素原子に由来する高い疎水性や耐薬品性を備えた機能性高分子である。焦げつきにくいフライパンに用いられる「フッ素加工」などで有名。
  • 10.遷移金属
    周期表で第3族から第11族までに属する元素。
  • 11.収率
    化学合成実験を行った結果、実際に得られた化合物の量を収量と呼ぶ。これに対し、化学反応が完全に進んだと仮定して反応式から計算された収量を理論収量と呼ぶ。現実の化学実験ではさまざまな理由により収量は理論収量を下回ることが多く、収量/理論収量の比である収率を求め、化学反応の効率の尺度とする。
  • 12.クロマトグラフィー
    物質の大きさ、分子量、吸着力、疎水性などの性質の違いを利用して分離・精製する手法。シリカゲルカラムクロマトグラフィーは、物質のシリカゲルとの親和性の違いにより分離する方法であり、有機化学実験で汎用される手法の一つである。
  • 13.トリフルオロボラートカリウム塩(-BF3K)
    ホウ素化合物に三つのフッ素が結合した陰イオンを有する塩。一般に空気や水に対して安定であり、取り扱いが容易である。
  • 14.ミミック化合物
    ミミック(mimic)は「模倣」や「擬態」を意味する英語。モデルとなる天然化合物や既存分子の構造や機能を再現した人工化合物を指す。
  • 15.クロスカップリング反応
    異なった有機化合物の炭素と炭素同士を、金属触媒などを用いて結合させる反応。2010年には「パラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応の開発」で北海道大学の鈴木章名誉教授、米国パデュー大学の根岸英一特別教授、デラウェア大学教授のリチャード・ヘック名誉教授にノーベル化学賞が授与された。
  • 16.薬物動態
    生体に投与された医薬品の生体内での一連の動きのこと。主に医薬品の体内への吸収、目的となる患部への到達を示す分布、生体内で医薬品が受ける代謝、その後の体外への排泄の、四つの過程を中心に解析される。開発中の医薬品候補の多くが、ヒトにおける薬物動態が良好でないことを原因として、開発中止に迫られている。
  • 17.陽電子放射核種(PET核種)、PET(陽電子放射断層撮像画像法)
    元素の放射性同位体の中で、陽電子を放出しながら崩壊する原子核を陽電子放射核種と呼ぶ。崩壊により生じた陽電子は、近くに存在する電子と衝突することで、一定のエネルギーを持つ1対のγ線を放出して消滅する。このγ線を測定することで、陽電子放射核種が付与された分子の存在する場所を画像化する手法がPET(陽電子放射断層撮像画像法)である。PETで観測できる放射線を出す原子には、炭素11や窒素13、酸素15、フッ素18および銅64などの金属原子の放射性同位体がある。PETはPositron Emission Tomographyの略。
フッ素を持つ有機化合物の例の図

図1 フッ素を持つ有機化合物の例

フッ素を含む有機化合物は、医薬品や機能性高分子、農薬などに利用されており、有機合成化学において重要な位置を占める。

アミド等価体として有望なフルオロアルケンの図

図2 アミド等価体として有望なフルオロアルケン

フルオロアルケンは、①高い平面性、②双極子モーメント(電荷の偏り)、③水素結合の受容能など、アミド結合と似通った点が多いため、ほぼ同様な生物活性を持つアミド等価体としての利用が期待される。代謝安定性を持つフルオロアルケンを利用することで生体内での安定性の向上などが見込まれる。

二つのフッ素のうち一つのみをホウ素に置き換える化学反応の図

図3 二つのフッ素のうち一つのみをホウ素に置き換える化学反応

上)今回開発した反応を反応式に示した。フッ素を二つ持つフルオロアルケンに銅錯体((Cy3P)2CuCl)とホウ素化剤((Bpin)2もしくは(Bnep)2)を作用させることで、二つのフッ素(F)のうち一つをホウ素(B)に置き換えている。

下)基質によって2種類のホウ素化剤を使い分けるのが効果的であることが分かった。代表的な成功例を示す。

複数のフッ素を持つアルケンのホウ素化反応の図

図4 複数のフッ素を持つアルケンのホウ素化反応

左)反応条件を最適化することで、複数のフッ素をもつフルオロアルケンのホウ素化反応が進行する。

右)テトラフルオロエチレンを用いてホウ素化反応の機構を調べたところ、反応中間体であるビニル銅錯体の単離に成功した。この結果は、本手法におけるフルオロアルケンのホウ素化反応では、フッ素が一度銅原子を経由してホウ素に置き換わっていることを示している。

アトルバスタチンのフルオロアルケン型ミミックの合成の図

図5 アトルバスタチンのフルオロアルケン型ミミックの合成

今回開発した反応により、ホウ素を持つフルオロアルケン②を合成した。パラジウム触媒を用いた鈴木-宮浦反応により、このフルオロアルケンを原料分子①と結合させることで、フルオロアルケン構造を持つ③を得た。続く2工程の化学変換を経て、目的とするミミック化合物⑤を合成した。合成したミミック化合物⑤とアトルバスタチン④は、ほぼ同程度のHMG-CoA還元酵素阻害活性を示した。

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