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2019年6月20日

東京大学
理化学研究所
マックスプランク固体研究所
ホロン工科大学
ワイツマン科学研究所

ナノチューブにおける巨大な光起電力効果を発見

-量子力学的な原理に基づく次世代太陽電池・光検出器実現の可能性-

東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻の岩佐義宏教授(理化学研究所創発物性科学研究センター創発デバイス研究チーム チームリーダー兼任)らと大阪大学産業科学研究所量子システム創成研究分野の張奕勁学振特別研究員(現 マックスプランク固体研究所研究員)との研究グループは、マックスプランク固体研究所のJurgen Smetグループリーダー、ホロン工科大学のAlla Zak教授、およびワイツマン科学研究所のReshef Tenne教授との共同研究により、2次元物質遷移金属カルコゲナイドの結晶構造対称性を制御することで大きな光起電力効果が出現することを明らかにしました。

太陽電池の動作原理にもなっている光起電力は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効果です。従来の太陽電池にはp-n接合等の界面で発生する光起電力効果が用いられてきましたが、一部の物質では界面に依らないバルク光起電力効果(Bulk photovoltaic effect, BPVE)が発生します。界面における光起電力の効率が理論限界に近付きつつある昨今、新たな基礎原理としてBPVEが注目されています。

本研究グループは、2次元物質として注目されている遷移金属カルコゲナイドの一つである二硫化タングステン(WS2)に着目しました。さまざまな結晶構造を持つWS2材料のナノデバイスにおけるBPVE効果を測定し、2次元シートをチューブ状に丸めたWS2ナノチューブにおいてBPVE効果が大幅に増幅されること発見しました。ナノ物質においてBPVEが観測されたのはこれが初めてです。また、既存のバルク物質よりも効果が大きいことを示唆する結果も確認されました。これらの結果は、結晶構造とりわけその対称性の制御が変換効率の増幅に大きな役割を果たし、また次世代の太陽電池材料として2次元物質を基本とするナノ物質が非常に有効であることを示唆しています。

詳細は東京大学工学部のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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