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2021年5月28日

京都大学
理化学研究所

生体分子の動きを効率的に捉えるシミュレーション技術を開発

-超高周波超音波照射によってタンパク質と医薬品の結合計算を加速-

京都大学大学院医学研究科 奥野恭史 教授、荒木望嗣 特定准教授、松本篤幸 特定准教授、理化学研究所計算科学研究センター 井阪悠太 特別研究員、兵庫県立大学 神谷成敏 教授、大阪大学 Gert-Jan Bekker 准教授らの研究グループは、病気の原因タンパク質と医薬品の結合過程を、汎用コンピュータでも高速にシミュレーションできる新たな計算技術の開発に成功しました。

近年、生体分子の立体構造解析技術は目覚ましい進歩をとげていますが、タンパク質の動きや医薬品との結合などの動的プロセスを分子レベルで捉えることは、依然としてチャレンジングな課題となっています。例えば、米国では専用のスーパーコンピュータが開発され、我が国でも「富岳」を用いて新型コロナウイルスの治療薬候補探索のシミュレーションがされています。

今回、本研究グループは、超高周波超音波の照射によって生体分子の動的プロセスを加速する新しいシミュレーション技術(Hypersound-Perturbed Molecular Dynamics Simulation)を開発し、タンパク質CDK2と低分子化合物を用いて検証したところ、両者の結合速度を10-20倍に上昇させることに成功し、タンパク質ポケットに対する多様な結合経路の存在が明らかになりました。将来、本手法をスーパーコンピュータ「富岳」に適用することで、「京」の300倍の速度向上が見込まれ、治療薬探索など、医薬品開発のスピードアップに貢献することが期待されます。

詳細は京都大学のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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