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2022年1月17日

東京大学
東北大学
理化学研究所
科学技術振興機構

カゴメ格子に由来する磁気熱電効果の増大機構の発見

-高機能磁気熱電変換材料の新たな物質設計指針へ-

東京大学大学院理学系研究科の見波将特任研究員、酒井明人講師、中辻知教授らの研究グループは、東北大学大学院理学研究科の是常隆准教授(理化学研究所創発物性科学研究センター計算物質科学研究チーム客員研究員)、東京大学大学院工学系研究科の野本拓也助教(理化学研究所創発物性科学研究センター計算物質科学研究チーム客員研究員)、平山元昭特任准教授(理化学研究所創発物性科学研究センタートポロジカル材料設計研究ユニットユニットリーダー)、有田亮太郎教授(理化学研究所創発物性科学研究センター計算物質科学研究チームチームリーダー)らの研究グループと協力して、鉄を主とするカゴメ格子強磁性体Fe3Snにおいて巨大な磁気熱電効果(=異常ネルンスト効果)が発現することを発見しました。加えて、第一原理計算を用いたコンピュータシミュレーションによる電子状態の解析の結果、ノーダルプレーンと呼ばれる特殊な電子状態が、カゴメ格子強磁性体Fe3Snにおける巨大な磁気熱電効果の起源となっていることが明らかとなりました。

磁気熱電効果の性能は、物質固有の電子状態や波動関数のトポロジーに由来する物理量(=ベリー曲率)が一端を担っています。磁気熱電効果の増大機構はこれまで未解明の部分が多くありましたが、今回発見したカゴメ格子に由来するノーダルプレーンと呼ばれる電子状態により巨大なベリー曲率が誘起し、磁気熱電効果が増大していることが明らかとなりました。また、このような特異な電子構造はカゴメ格子構造を持つ磁気熱電材料に発現する可能性があります。本研究で発見したカゴメ格子に由来する磁気熱電効果の増大機構は、今後の高機能磁気熱電変換材料の新たな物質設計指針になると期待されます。

詳細は東京大学 大学院理学系研究科・理学部のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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