原核生物では、機能が関連した複数の遺伝子が、オペロンと呼ばれる構造にまとめられて制御されています。原核生物が持つ精巧なオペロンがいかにして生じてきたかは、古くから謎とされてきました。
今回、東京大学大学院理学系研究科の金井雄樹大学院生、津留三良特任助教、古澤力教授らは、原核生物のゲノムに普遍的な挿入配列と呼ばれる配列によって、オペロンを形成する進化が駆動されるとする新たな仮説を提唱しました。また、大腸菌を実験室で挿入配列の活性が高い条件で培養することで、仮説通りにオペロンが形成されうることを実証しました。これは、今まで未知であった原核生物のオペロンの形成メカニズムの一つを、進化過程の観測によって初めて実証した研究です。
病原性大腸菌O157などの病原菌でよく見られる挿入配列によってオペロンが形成されうることは、細菌の病原性の獲得や制御における新たな知見を与えるものです。また、本研究によって、オペロン形成をくりかえし再現できる実験条件が明らかになりました。この成果によって、今後、原始的な生物がオペロンを獲得して現生の原核生物へと近づいた過程の解明が期待できます。
詳細は東京大学 大学院理学系研究科・理学部のホームページをご覧ください。
報道担当
理化学研究所 広報室 報道担当
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