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2022年5月20日

京都大学
公益財団法人岩手生物工学研究センター
名古屋大学
理化学研究所

植物が病原菌特有の脂質を認識するしくみ

-ジャガイモ疫病菌のスフィンゴ脂質に対する受容体の発見-

ジャガイモ疫病は、卵菌類の疫病菌によって引き起こされる深刻な植物病害です。京都大学大学院農学研究科 加藤 大明 特定研究員、寺内 良平 教授、高野 義孝 教授、大門 高明 教授、小内 清 研究員、(公財)岩手生物工学研究センター 阿部 陽 主席研究員、根本 圭一郎 主任研究員、清水 元樹 主任研究員、名古屋大学大学院生命農学研究科 竹本 大吾 准教授、小鹿 一 教授、川北 一人 教授、名古屋大学遺伝子実験施設 石浦 正寛 名誉教授、理化学研究所および東京大学大学院 白須 賢 グループディレクター/教授、吉田 稔 グループディレクター/教授、理化学研究所 浅井 秀太 上級研究員、石濱 伸明 研究員、松岡 聖二 技師らの共同研究グループは、ジャガイモ疫病菌のもつスフィンゴ脂質を認識して抵抗性を誘導する植物の受容体を初めて発見しました。

ジャガイモ疫病菌の細胞膜に含まれるセラミドという物質にPi-Cer Dという種類があります。Pi-Cer Dは、植物に抵抗反応を引き起こすことが知られています。実験植物シロイヌナズナとLumi-Map法という最新技術を用いて、Pi-Cer D処理による抵抗反応に必要とされる遺伝子を調べたところ、NCER2セラミダーゼ遺伝子とRDA2受容体の遺伝子が見つかりました。病原菌のPi-Cer DがNCER2セラミダーゼによって切断されると9Me-Sptというスフィンゴ脂質ができ、このスフィンゴ脂質がRDA2受容体に結合すると抵抗反応が引き起こされるしくみがわかりました。今後、9Me-SptとRDA2受容体の結合のしかたとRDA2受容体の働くしくみを詳しく調べることにより、外敵のスフィンゴ脂質に対してより敏感な受容体を開発し、病気に強い作物をつくることも可能です。

詳細は京都大学のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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