1. Home
  2. 研究成果(プレスリリース)
  3. 研究成果(プレスリリース)2022

2022年5月30日

東京大学
理化学研究所

2次元結晶の積層構造由来の電気分極を反映した光起電力応答を発見

-2次元物質の積層自由度を用いた新たな機能性の可能性-

東京大学大学院工学系研究科の井手上敏也助教(研究当時、現同大学物性研究所准教授)と岩佐義宏教授(理化学研究所 創発物性科学研究センター 創発デバイス研究チーム チームリーダー兼任)の研究グループは、The University of British Columbiaのグループや物質・材料研究機構のグループと共同で、積層方向に分極を持つような2次元結晶において、電気分極を反映した巨大な光起電力効果が生じることを発見した。

原子層数枚だけからなる2次元結晶は、各々の層の積み重なり方によって物性が大きく変化することが近年注目を集めており、その積層構造の自由度に起因する物性や機能性の解明が急速に進んできている。

本研究では、面直積層方向に電気分極を持つような、特徴的積層構造を持つ数層の2次元半導体に着目して、そのような2次元半導体を炭素の原子層物質であるグラフェンの電極で挟んだデバイスに光を照射すると、電圧を印加しない状態でも電流が流れることを発見した。これは従来の半導体pn接合からなる光起電力効果とは本質的に異なる現象であり、さらに、電気分極を持たないような単層試料や別の積層構造を持つ試料では光電流は流れないことを確認することで、観測した光起電力効果が分極に由来することを明らかにした。

本研究成果は、2次元結晶における機能性開拓に新しい方向性を与えるものであり、今後、2次元結晶のさまざまな積層構造を反映した新奇物性の開拓を推進する契機となると期待される。

詳細は東京大学工学部のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
お問い合わせフォーム

Top