1. Home
  2. 研究成果(プレスリリース)
  3. 研究成果(プレスリリース)2022

2022年10月4日

東京工業大学
理化学研究所

無細胞タンパク質合成を用いた迅速なタンパク質結晶の合成

-微量で素早いナノ結晶合成でタンパク質の構造解析をスピード化-

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の安部聡助教、田中潤子大学院生、小島摩利子大学院生と上野隆史教授のグループは、理化学研究所 放射光科学研究センター 平田邦生博士の研究グループと共同で、無細胞タンパク質合成反応を使い、従来の常識を破る迅速かつ微量でのタンパク質結晶化とその構造解析に成功した。

あらゆる生命活動にはタンパク質が関与しており、例えばある疾患を阻害する医薬品を開発するには、疾患の原因となるタンパク質の見極めと構造解明が必須となる。現在、タンパク質の3次元立体構造解析に多く用いられているのはX線結晶構造解析で、それには高度に精製された品質の良いタンパク質の単結晶が欠かせない。しかし標的となるタンパク質を合成、さらに精製して結晶化を行い、高分解能での解析に耐える大きさと品質の結晶を得るには、最新の技術と装置を用いても数カ月もの期間を必要とするのが一般的で、この工程を劇的に短縮、単純化するブレークスルーが求められていた。

本研究では、細胞から取り出された抽出液に目的タンパク質の遺伝情報を持つDNAまたはmRNAなどを添加してタンパク質を合成する無細胞タンパク質合成の手法と、細胞内で自律的に結晶を行う「多角体」を組み合わせ、複雑な「精製」「結晶化」の過程を経ずに直接タンパク質結晶を得る無細胞タンパク質結晶化に成功。従来の生細胞を用いたタンパク質合成に比べプロセスを大幅に簡略化し、所要時間もわずか24時間以内と劇的に短縮した。さらに得られた結晶は数百nm(ナノメートル)と小さめであるにもかかわらず、結晶の質が高いこともあり、大型放射光施設SPring-8の微結晶構造解析に特化したビームラインを利用した自動測定によって高分解能構造を得ることにも成功した。

詳細は東京工業大学のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
お問い合わせフォーム

Top