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2022年11月24日

北海道大学
理化学研究所

極低温氷表面でのOHラジカルの動きやすさを初めて測定

-宇宙の氷微粒子上で分子進化が活性化する温度が明らかに-

北海道大学 低温科学研究所の渡部 直樹 教授らの研究グループは、理化学研究所 仁科加速器科学研究センターの中井 陽一 専任研究員と共同で、新たに開発した手法を用いて、極低温氷表面でOHラジカルが動き始める温度を調べることに成功しました。

OHラジカルは水分子(H2O)から水素原子(H)が一つ取れたもので、非常に化学反応を起こしやすい性質を持っています。宇宙空間に浮遊する極低温の氷微粒子表面にはOHラジカルが大量に存在し、有機分子を含む様々な分子の生成に大きな役割を果たすと考えられています。つまり、OHラジカルは宇宙における分子の進化の鍵を握る化学種ということができます。しかし、OHラジカルは氷表面に比較的強く結合しているため、氷微粒子の温度が上がり、それが表面を動き回る温度になったとき初めて分子進化は活性化します。宇宙の環境に近い超高真空・極低温下における氷表面のOHラジカルを観測することは実験的に難しく、これまでOHラジカルが動き出す温度は明らかになっていませんでした。

研究グループは今回、その観測手法を新たに開発し、氷表面に存在するOHラジカルが動き出すのに必要なエネルギーを測定することに成功しました。その結果、極低温の宇宙環境に存在する氷微粒子表面では、およそ−237℃でOHラジカルの動きが活発化し分子進化が促進することが分かりました。今後は、OH以外の化学種でも同様の手法で氷表面での動きやすさを調べることで、宇宙の氷微粒子表面における分子進化の全容に迫ることが期待されます。

詳細は北海道大学のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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