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2009年9月7日

理化学研究所

「GeNAS事業」の提携企業の募集について

独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、オミックス基盤研究領域(OSC、林崎良英領域長)が開始する「GeNAS(Genome Network Analysis Service)事業」に提携参加する企業(提携企業)を募集します。応募期間は、9月7日(月)~10月2日(金)で、9月14日(月)16時から理研東京連絡事務所にて説明会を開催します。

GeNAS事業の概要

理研OSCは、これまで国際FANTOMコンソーシアム※1文部科学省ゲノムネットワークプロジェクト※2に関する研究開発成果の蓄積であるゲノムやトランスクリプトームなどの知見と、体系的なゲノム機能の網羅的解析技術を培ってきました。この理研OSCの持つ解析技術を、広く国内外の大学、研究機関、産業界等に有償で提供するために、技術支援事業「GeNAS事業」を開始します。理研OSCは、2009年度にスタートした文部科学省「革新的細胞解析プログラム(セルイノベーション)」における「次世代シーケンス拠点整備および運営」に採択されており(2009年4月23日プレス発表)、GeNAS事業は同プログラムの次世代シーケンサー※3外部開放事業の一環でもあります。具体的には、受託解析として利用者からの依頼に基づき、サンプルの提供を受け、OSCが保有する次世代シーケンサーや独自のゲノムやトランスクリプトーム解析技術、バイオインフォマティクス解析技術などの複数の研究基盤やノウハウを活用して解析を行い、その解析結果を利用者に提供することで、わが国のライフサイエンス研究に飛躍的な加速を図ることを目的としています。

今回、本事業を円滑に進めるため、OSCと大学や研究機関、産業界などをつなぐ営業窓口機能を担い、受託解析にかかるメニュー(図1)の紹介、理研と利用者間の費用の授受などの調整業務を行う、提携企業を募集します。

GeNAS事業の体制

GeNAS事業の体制は、理研、利用者、提携企業の3社からなります(図2)。提携企業は、利用者からのGeNAS受託解析の依頼を受け付け、利用者が受託解析内容を理研に相談する場を手配します。利用者は、理研と直接解析に関する科学的・技術的な相談を行い、解析の仕様を決定します。理研は、この仕様に基づきサンプルの受領、解析、納品、検収までを実施します。受託解析に必要な費用は利用者が負担します。提携企業は、理研からの指示で利用者に対して見積書・納品書・請求書を発行するとともに、理研への受託料の入金(前払い)を行います。利用者からの入金(後払い)は納品後に受けるため、提携企業がクレジット機能を果たすことになります。

料金は、理研が受託解析によって発生する費用(一般管理費を含む)に、提携企業側で発生する諸経費や利益などを加算した金額になります。理研が提携企業に提示する費用は、利用者が公的機関であっても民間企業であっても、原則として同一金額とします。

提携企業の募集内容

今回、以下の2つの解析メニューに対して、それぞれ数社程度、提携企業を募集します。解析データに対する責任は、原則理研にあります。特許が関連するメニューについては、提携企業が当該特許の周辺環境を調査し、責任を負うことになります。今回の募集に基づいて選定した提携企業は、理研との間で本事業の実施に関する包括的な受託試験契約を締結した上で、提携企業として活動を展開していきます。

(公募する解析メニュー)
CAGE※4解析(理研の特許を含む)
② DNAシーケンス(理研以外の機関の特許を含む)

お問い合わせ先

独立行政法人理化学研究所 知的財産戦略センター 知的財産戦略グループ 企画戦略チーム
(担当:生越、山本)
Tel: 048-462-5287 / Fax: 048-462-4718

技術内容 お問い合わせ先

独立行政法人理化学研究所 オミックス基盤研究領域(OSC) LSAシステム構築グループ
(担当:河合、眞鍋、鈴木直子)
Tel: 045-503-9222 / Fax: 045-503-9216

報道担当

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715

補足説明

  • 1.
    国際FANTOMコンソーシアム
    2000年に、理研ゲノム科学総合研究センター遺伝子構造・機能研究グループ(現・オミックス基盤研究領域)が中心となって結成した。ほ乳動物(マウス)の遺伝子を網羅的に機能注釈することを主眼とする国際研究コンソーシアム(Functional ANnoTation Of Mammalian cDNA)の略称。現在は活動範囲を拡大し、遺伝子ネットワークの解明に取り組んでいる。オーストラリア、シンガポール、スウェーデン、南アフリカ、イタリア、ドイツ、ギリシャ、スイス、英国、米国などを含む全世界の15カ国から、51の研究機関などが参加している。
  • 2.
    文部科学省ゲノムネットワークプロジェクト
    2004年度から文部科学省(笹月健彦推進委員会主査、榊佳之実施会議議長、林﨑良英中核機関研究課題代表者)によって開始された。今後のポストゲノムシーケンシング研究の発展を目指して、国際レベルにある研究ポテンシャルを活用しつつ、遺伝子の発現調節機能やタンパク質等の生体分子間の相互作用の網羅的な解析に基づき、生命活動を成立させているネットワークを明らかにすることを目的とした。
  • 3.
    次世代シーケンサー
    米国を中心に、従来のDNAシーケンサーが採用していたサンガー法とは異なる原理を採用することで、短いDNA配列をきわめて高速に解読する技術が開発され、活用できるようになった。シーケンサー開発分野は発展が目覚ましく、同じ次世代といっても大きな性能差があるため、第2世代、第3世代と細分化するようになってきた。現在、理研ではロッシュ454、イルミナSolexa、アプライドバイオシステムズSOLiDの3種類の次世代シーケンサーの最新機種を所持している。
  • 4.
    CAGE法
    Cap Analysis of Gene Expressionの略。理研オミックス基盤研究領域が開発した方法で、耐熱性逆転写酵素やCap-trapper法を組み合わせて、5'末端から27塩基のタグ配列を切り出し、塩基配列を決定する実験技法。この塩基配列を読み取ってゲノム配列と照らし合わせ、どの部分がコピーされているかを調べることができることで、ゲノムワイドな転写開始点解析、遺伝子発現解析およびプロモーター予測ができる。なお、この技術は理研と理研ベンチャー企業の1つである株式会社ダナフォームとの共有特許である。
GeNAS受託解析メニューの図表

図1 GeNAS受託解析メニュー

まずは、CAGE解析とDNA配列解析の2つのメニューを実施。Short RNA解析やその他現在開発中の解析を受託解析項目に加えて行く予定。
GeNAS事業のスキームの図

図2 GeNAS事業のスキーム

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