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2011年9月27日

理化学研究所

横山茂之領域長が米国芸術科学アカデミーの外国人名誉会員に選出

横山茂之領域長の写真

生命分子システム基盤研究領域の横山茂之領域長(国立大学法人東京大学大学院理学系研究科構造生物学社会連携講座 教授)が、米国芸術科学アカデミー(The American Academy of Arts and Sciences)の外国人名誉会員に選出されました。米国芸術科学アカデミーは、1780年に設立された、米国最古のアカデミーであり、アルバート・アインシュタインを始めとする科学者や、ジョージ・ワシントンなどの政治家、芸術家などが選出されてきました。その会員となることは、その時代の最高の影響力の象徴として、米国では最高の栄誉とも言われています。今回、根岸英一米パデュー大学特別教授/2010年ノーベル化学賞を含む195人が会員として選出され、外国人名誉会員として16人が選出されました。これまで外国人名誉会員に選出された日本人には、有馬朗人元東京大学総長/元理化学研究所理事長や、野依良治理化学研究所理事長/2001年ノーベル化学賞などがおられます。任命式は10月1日にボストンで行われます。
横山茂之領域長は、構造生物学、生化学、生物物理学を専門とし、以下のような革新的な研究業績を挙げてきました。

生命を構成する様々なタンパク質や核酸などの分子について、X線結晶構造解析とNMR(核磁気共鳴)解析によって原子レベルの分解能での立体構造(3次元構造)を明らかにし、遺伝や細胞の仕組みを解明する研究を行ってきました。特に、細胞内でタンパク質が作られるプロセスについての分野での功績が大きく、大半のアミノ酸種について、転移RNA(tRNA)との正確な対応の機構を明らかにしました。

その研究に基づき、天然にはない人工アミノ酸をタンパク質に組み込む技術を開発し、細胞への応用を達成しました。さらに、人工塩基対を開発し、生命の基本である複製、転写、翻訳(人工アミノ酸とともに)で働かせることに成功し、人工的な遺伝システムの構築を成し遂げました。

また、大腸菌などの細胞の抽出液を用いて高品質のタンパク質試料を大量調製する技術を開発し、生きた細胞を用いる組換えDNA法によるタンパク質合成技術を置き換え得るものにまで育てました。その例として、安定同位体で標識したタンパク質試料の調製に応用して、NMR法によって千種類を超えるヒトタンパク質の構造解析に成功しました。

このような立体構造解析、非天然型アミノ酸・人工塩基対の活用、無細胞タンパク質合成技術を駆使する独創的な研究により、遺伝のシステムについては、RNAポリメラーゼ、RNAヘリカーゼ、スプライシング制御因子など、動物細胞のシグナル伝達については、ヒトの病気に関わる増殖因子受容体など、重要な分子についてそれらが働く基本的なメカニズムを解明するなど、先駆的な研究業績で生命の根源に迫っています。

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