1. Home
  2. 広報活動
  3. お知らせ
  4. お知らせ 2012

2012年2月24日

理化学研究所

理化学研究所に対する国際的な外部評価委員会「第8回理化学研究所アドバイザリー・カウンシル(RAC)」の報告書について

ポイント

  • 社会知創成事業の創設など、第7回RACの提言への対応を評価
  • 理研が掲げる次期中期計画の基本方針を強く支持
  • 理研の基礎科学の伝統を認識し、維持することが重要

概要

独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)の活動に関して、国内外の外部有識者が理事長へ提言を行う「第8回理化学研究所アドバイザリー・カウンシル(RAC)」が2011年10月25日~28日に開催されましたが、このほどリタ・R・コルウェル議長(米国 メリーランド大学 特別教授)から、評価結果と提言をまとめた報告書が提示されました。

報告書では、理研は組織全体で一致協力し、「生命システム研究センター」の創設や「事務アドバイザリー・カウンシル」の設置など、第7回RACの提言に対して徹底的かつ実効性のある対応を行ったことが評価されました。特に、研究者の個人知を社会に貢献する社会知へと発展させる「社会知創成事業」の創設は、産業界や医療界へ知識および技術を移転するシステムとして重要性を増しつつあり、その役割は大いに期待できると評価されました。一方で、引き続き、女性研究者と外国人研究者の雇用・機会を増やす取り組みを強化し、さらに、理研で研究する大学院生を増やすなどの取り組みを進めるよう提言を受けました。

また、理研が次期中期計画の基本方針として掲げる「基礎科学研究と革新的な開発研究を相補的に推進し、課題解決型および分野横断型の連携を重視する」ことを強く支持すると評価されました。その上で、基礎科学技術からイノベーション、再建、改革へ理研が貢献するには、実用性と社会との関連性に向けた取り組みを進めるにあたり、理研の真髄である基礎科学の伝統を認識し、維持するように慎重に行うことが重要であるとの提言を受けました。

第8回RAC報告書 (英文本文和文仮訳

背景

理研は、その活動に関して評価・助言を受けるため、国内外の大学・研究機関や企業などで活躍してきた一流の外部有識者により構成される「理研アドバイザリー・カウンシル(RAC)」を設置しています。理研は、わが国の大学・研究機関などに先駆けて、特殊法人時代の1993年に外部評価委員会であるRACを初めて実施し、今回の開催で8回目となります。現在では、原則として中期目標期間(5年間)中に2回開催することとしています。

第7回RACの報告書では、理研が有する研究分野と質は国内外でも傑出しており、最先端の学際研究を行う理想的な場を形成しているとの評価を受けました。

また、生命理工学・定量生物学のプログラムの開始を検討することや、事務部門のアドバイザリー・カウンシルを設置することなどの提言を受けました。

理研は、これらの提言を踏まえ、生命医科学の定量的研究を行う「生命システム研究センター」の創設、研究活動を支える事務部門の改革に向けた「事務アドバイザリー・カウンシル」の設置など、その後の研究所運営に反映しています。

第8回RACについて

第8回RACは、2011年10月25日~28日に東京都内で開催されました。今回は、リタ・R・コルウェル氏(米国 メリーランド大学 特別教授)を議長とし、多様な分野をカバーする国内外の世界的科学者が委員として参加しました(委員名簿:別紙)。

第8回のRACでは、理事長から以下の事項をRACに諮問しました。

  • 1.第8回RAC会議は、第7回RAC提言(「創造的発展のための基盤作り」)に対する理研の対応を評価する
  • 2.理研は、第3期中期計画において、現在の使命の達成に加えて、自然科学の総合研究所として「人類の存続に貢献する知の創出」を目指す。第8回RACは理研経営陣に対して、そのためのガバナンスと新たな戦略、研究体制、運営方策を提言する
  • 3.第8回RACは理研センター横断型研究活動及び国内外の大学・産業界等外部機関との連携活動について評価する。さらに、理研が総合力を最大限に発揮するために取り組むべき方策について、経営陣に提言する

RAC提言

新たな提言の趣旨は、以下のとおりです。

提言1:再編~伝統と変化とのバランス~

  • 基礎科学研究と革新的な開発研究を相補的に推進し、課題解決型および分野横断型の連携を重視する次期中期計画を強く支持する。
  • 理研の真髄である卓越した科学の伝統を認識し、維持することが重要。そのためには基礎科学への着実な取組が必要である。
  • 課題解決型研究は、現実世界に溢れている課題から、自らの強みと能力を最も効果的に応用できる課題を選択し、そこに集中すべきである。
  • 課題解決型研究は、分野横断的であるとともに、理研に豊富に存在する広い科学の専門技術と専門知識そして先進技術を融合することが必要である。

提言2:社会知創成事業

  • 層別化医療もしくは先制医療を新たな分野として重視することが必要である。
  • 分野を問わず戦略的にターゲットを選ぶことが必要である。
  • 創薬・医療技術基盤プログラムにはプログラム・ディレクターを補佐する専門知識をもったアドバイザリー・コミッティーの設置を検討する必要がある。

提言3:研究基盤

  • ユーザーインタフェースおよび技術支援を利用希望者全員が利用できることが重要である。それは科学の進歩に役立つだけでなく、理研が卓越した科学の拠点であるという評判を世界に広げる効果もある。

提言4:科学、技術、イノベーションの新しい方向性

  • 新設された生命システム研究センターは、既存の研究プログラムと適切に統合する必要がある。
  • 生物科学と物質科学の間のバランスの変化、もしくは両者の融合が必要である。
  • 重複と非効率を排除し、協力の可能性を開くため、多くの生物科学系研究センター間の垣根を取り払い、設備と重点項目の統合・調整を強く検討すべきである。

提言5:女性科学者の機会増大

  • 女性研究指導者や女性研究者、外国人研究者の増員と環境整備が必要である。

提言6:大学院生のためのプログラム

  • 大学院生の受け入れを支援するプログラムを策定・推進することが必要である。
  • 分野横断的研究や研究基盤の特徴を活かしつつ、国内外の大学院、メディカルスクールとの関係を強化すべきである。

提言7:科学的助言組織

  • 経営陣に対する科学的助言組織をより効率的にするための統合を検討すべきである。
  • 研究戦略会議メンバー構成を見直し、生命科学系への偏りを再考する必要がある。

提言8:理研のアイデンティティと知名度の向上

  • 研究と事務共通のコーポレートアイデンティティの形成し、効果的なミッションステートメントを作成する必要がある。

提言9:知的財産と産業界の連携

  • 知財戦略における費用対効果を検討すべきである。

提言10:事務改革

  • 融通性とスピードを求める研究者のニーズへの対応が後退するような購入・契約制度の変更を懸念する。
  • 購入・契約部門の合理化については次回の事務アドバイザリー・カウンシルで検討するとよい。

今後の対応

理研は、今回報告された数々の提言を真摯に受け止め、迅速に対応策を検討し、RACに対して報告する予定です。また、その検討結果は、理研の第3期中期計画策定に適切に反映させ、真に人類の存続に貢献できる法人となれるよう、取り組んでいきます。

お問い合わせ先

独立行政法人理化学研究所 経営企画部 評価推進課
課長 串田 幸彦(くしだ ゆきひこ)
Tel: 048-467-4460 / Fax: 048-462-4600

報道担当

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715


< 別紙 >

第8回理化学研究所アドバイザリー・カウンシル委員名簿

Colwell, Rita R. (議長)
Distinguished University Professor
Center for Bioinformatics & Computational Biology, University of Maryland

メリーランド大学 特別教授 (元 米国国立科学財団(NSF) 理事長)
Alper, Howard (副議長)
Distinguished University Professor, University of Ottawa
Chair, Science, Technology and Innovation Council

オタワ大学 特別教授
カナダ科学技術イノベーション評議会 議長
Blakemore, Colin (副議長)
Professor
Department of Physiology, Anatomy and Genetics, University of Oxford

オックスフォード大学 教授
(元 英国医学研究評議会(MRC) 議長)
Imura, Hiroo (井村 裕夫)(副議長)
President
Foundation for Biomedical Research and Innovation

財団法人先端医療振興財団 理事長
(元 京都大学 総長)
Beppu, Teruhiko (別府 輝彦)
Professor Emeritus, The University of Tokyo
東京大学 名誉教授
(元 日本バイオインダストリー協会 会長)
Fukuyama, Hidetoshi (福山 秀敏)
Vice President, Director of Research Institute for Science and Technology
Tokyo University of Science

東京理科大学 副学長 ・ 総合研究機構 機構長
(東京大学 名誉教授)
Go, Mitiko (郷 通子)
Executive Director
Research Organization of Information and Systems

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 理事
(元 お茶の水女子大学 学長)
Guénet, Jean-Louis
Emeritus Scientist, Unite de Genetique des Mammiferes
Institut Pasteur

パスツール研究所 名誉科学者
Hall, Zach W
Emeritus Vice Chancellor
University of California, San Francisco

カリフォルニア大学サンフランシスコ校 名誉副総長
(元 カリフォルニア再生医科学研究所 所長)
Hastings, Jerome
Professor, Photon Science
SLAC National Accelerator Laboratory

SLAC国立加速器研究所 教授
Heinemann, Stephen F
Professor, Molecular Neurobiology Laboratory
The Salk Institute

ソーク研究所 教授
Jiang, Biao (姜 標)
Vice President
Shanghai Advanced Research Institute, Chinese Academy of Sciences

中国科学院 上海高等研究院 副院長
Kienle, Paul
Professor Emeritus, Department of Physics
Munich University of Technology

ミュンヘン工科大学 名誉教授
(元 ドイツ重イオン研究所 所長)
Långström, Bengt
Professor, Department of Biochemistry and Organic Chemistry
Uppsala University

ウプサラ大学 教授
Lathrop, Mark
Director General
Centre National de Génotypage

フランス国立遺伝子センター センター長
Metternich, Rainer E.
Global Head of Small Molecule Research
F. Hoffmann-La Roche Ltd.

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社 小分子リサーチ国際統括担当
Sasazuki, Takehiko (笹月 健彦)
University Professor
Institute for Advanced Study, Kyushu University

九州大学高等研究院 特別主幹教授
(前 国立国際医療研究センター 総長)
Ushioda, Sukekatsu (潮田 資勝)
President
National Institute for Materials Science

独立行政法人物質・材料研究機構 理事長
Wong, Chi-Huey* (翁 啓恵)
President
Academia Sinica

中央研究院 院長
Anzai, Yuichiro* (安西 祐一郎)
President
Japan Society for the Promotion of Science

独立行政法人日本学術振興会 理事長
(前 慶応義塾長)
Markides, Karin*
President
Chalmers University of Technology

チャルマース工科大学 学長
Stevens, Raymond*
Professor, Department of Molecular Biology
The Scripps Research Institute

スクリップス研究所 教授

注)*=会議欠席

Top