2016年9月14日、鶴保庸介 内閣府特命担当大臣(科学技術政策)が和光地区を視察しました。
まず、松本紘理事長より冒頭挨拶と理研の概要について説明しました。
その後、研究交流東棟に移動し、光量子工学研究領域の緑川克美領域長が、開発したアト秒パルスレーザー装置を前に、世界最高出力を達成した理研ならではの工夫や、アト秒パルスレーザーによる基礎研究からイノベーションへの展望について説明しました。
次に、脳科学中央研究棟に移動し、脳科学総合研究センターの西道隆臣チームリーダーが、アルツハイマー病発症に至る神経老化の機構の解明に関する研究や、実際の患者に酷似したアルツハイマーの病理を再現できる次世代型アルツハイマー病モデルマウスの開発について、これらの知見に基づいた創薬標的の探索、同定を見据えた企業との連携状況も踏まえて解説しました。
続いて、創発物性科学研究センターの川﨑雅司副センター長が、創発物性科学研究センターにおける超低エネルギー消費エレクトロニクス研究や民間企業との連携について説明しました。さらに、石田康博チームリーダーが、殆どが水で構成されるため環境負荷の低い究極のエコ材料として注目されている「アクアマテリアル」を紹介しました。
最後に、仁科加速器研究センターでは、上坂友洋主任研究員と羽場宏光チームリーダーが、世界一の強度を誇る加速器と周辺装置について説明し、先日、森田浩介グループディレクターらが名称・記号案「nihonium(ニホニウム)・Nh」を提案した113番元素をはじめとした超重元素合成とその先の安定原子核の島の探索の重要性や、加速器開発における国際競争の状況やその応用研究について説明しました。
役員らとの意見交換では、イノベーションに向けた期待と、世界トップクラスの成果を創出するための研究や人材育成の方策、他の研究機関や大学、企業との連携のあり方などについて、活発な議論が行われました。