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2017年11月15日

理化学研究所
物質・材料研究機構

理研計算科学研究機構と物質・材料研究機構が、HPCwireの読者選出の表彰を受賞

-製造業分野で高性能コンピューティングを最も活用-

理研計算科学研究機構は、物質・材料研究機構とともに、米国コロラド州デンバーで13日(現地時間)から開催されているHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)に関する国際会議SC17(International Conference for High Performance Computing, Networking, Storage and Analysis)で、スパコンなどHPC技術の専門誌「HPCwire」の読者が選ぶ2017年度「Best Use of HPC in Manufacturing」を受賞しました。物質・材料研究機構が「京」を用いて行っているリチウムイオン電池の研究が、製造業分野で最も優れた高性能コンピューティングの活用であると評されたものです。受賞者リストは13日、SC17会議の冒頭で発表されるとともに、HPCwireウェブサイト(英語)で公開されました。

現在、電気自動車などでの利用に向けて、リチウムイオン電池および次世代二次電池の改良・開発が活発に行われており、その中で「安全性」の向上が重要課題の一つです。この「安全性」の制御には、電池の電極上にできる被膜の制御と可燃性の有機電解液の改良が必要となります。物質・材料研究機構の館山グループリーダーらの研究チームは、「京」上で原子・分子スケールの第一原理分子動力学サンプリングシミュレーションを高効率で実行し、被膜に関してこれまで考えられてこなかった微視的構造や形成機構を明らかにしました。また電解液については実験グループと協力し安全性の高い「濃厚電解液」という新ジャンルを立ち上げ、その化学安定性やイオン伝導性のメカニズムを証明しました。このように「京」による原子・分子シミュレーションが実際の二次電池の開発に大きく貢献しています。

HPCwireは、HPC関連業界のニュースを扱うサイトで、業界動向などビジネス情報とシステム、ソフトウエア、ネットワーク、ストレージなどの技術情報を政府や企業、学会、ベンダー向けに提供しています。

HPCwireの賞には、「読者が選ぶ賞」と「編集者が選ぶ賞」があり、「読者が選ぶ賞」は、企業の幹部からエンドユーザまで幅広い層のHPCwire読者のオンライン投票により、また「編集者が選ぶ賞」はHPCwire編集者と企業の有識者により決定されます。これらの賞は、HPC関連業界で高く評価されています。

HPCwire出版者であるトム・テイバー(Tom Tabor)のメッセージ:
「読者と編集者が選ぶHPCwire年間賞は、HPCコミュニティの関係者が広くその業績を評価し、その努力を評価するという明快なメッセージを与えるものだ。すべての受賞者におめでとうと言いたい。」
詳しくは、HPCwireウェブサイトや、Twitter (ハッシュタグ:#hpcwireawards)でごらんください。

左側がプレゼンターのHPCwire Tom Tabor CEO、右が計算科学研究機構平尾機構長の表彰時の写真

左側がプレゼンターのHPCwire Tom Tabor CEO、右が計算科学研究機構平尾機構長。

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