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2020年12月1日

理化学研究所

本田賢也チームリーダーが「2020年微生物学のためのカルロス・J・フィンレイ/ユネスコ賞」を受賞

本田賢也チームリーダーの写真

本田賢也チームリーダー(理化学研究所生命医科学研究センター消化管恒常性研究チーム/慶應義塾大学医学部教授)が、2020年微生物学のためのカルロス・J・フィンレイ/ユネスコ賞を受賞しました。本田チームリーダーの微生物学分野、特に細菌叢の分野と様々な病状における免疫システムへの影響についての功績が傑出していると評価され、受賞に至りました。

カルロス・J・フィンレイ/ユネスコ賞は、黄熱病の感染経路を発見したキューバの医師・微生物学者であるカルロス・フィンレイ博士を記念してキューバ政府がスポンサーとなり、1976年に設立した賞です。約2年ごとに微生物学(免疫学、分子生物学、遺伝学その他含む)の分野において世界的に顕著な貢献をしたと認められる個人、機関、NGO、その他の団体に贈られます。

本田チームリーダーの研究グループは、腸内細菌叢研究でシーケンサーだけに頼らず、目的とする表現型に対して本質的に重要な働きをする細胞株群を同定する独自の還元型手法を展開してきました。この方法論に基づいて、免疫細胞に影響を与えるヒト腸内細菌株セットの同定・単離に成功しています。本田チームリーダーが取り出したいくつかの菌層群を用いた臨床治験も始まっており、炎症性腸疾患・アレルギー・がんに対する新しい治療モダリティーとして期待されています。

本田チームリーダーのコメント

今回、このような栄誉ある賞を受賞させていただき大変嬉しく思っております。新さん・田之上さんをはじめとする研究室の仲間に感謝したいと思います。腸内細菌は、約1000種類もの細菌からなる複雑系です。腸内細菌を一つ一つ単離培養し、マウスに投与して特徴付けするという地道で手間のかかる研究を続けてきました。単離した菌をin vivoで解析する研究手法として、ノトバイオート技術を用いています。ノトバイオートというのは、無菌のアイソレーターの中で飼育されている無菌の動物に、興味ある菌を投与し、投与した菌だけが体に存在する動物のことをさします。理研で整備した素晴らしいノトバイオート施設が私たちの研究を大きく後押ししてくれました。そうした実験系を使って、私たちは免疫システムに影響を与える菌種を同定・単離してきました。これらはアレルギーや自己免疫疾患、炎症性腸疾患、がんなどを抑制できる可能性が有り、臨床治験も始まっています。今後も、今回の受賞に恥じることのないよう、世の中の役に立つ腸内細菌研究を続けていく所存です。

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