「第29回理化学研究所里庄セミナー」(主催:理化学研究所、科学振興仁科財団)が、8月19日(土)、岡山県里庄町にある仁科会館で4年ぶりに開催されました。
日本の原子核物理学の父であり、理研第4代所長を務めた仁科 芳雄 博士は、岡山県里庄町で生まれ、少年時代を過ごしました。この里庄町で、仁科博士の顕彰事業として1992年に始まった「理化学研究所里庄セミナー」は、コロナ禍による休止期間を経て4年ぶり29回目の開催となりました。
開会式での仲 真紀子 理事によるスピーチ
一つ目の講演「細胞培養研究の歴史と細胞イノベーション」(講師:中村 幸夫 バイオリソース研究センター 副センター長)では、細胞培養技術開発の歴史、ES細胞からiPS細胞へと続く革命的な発明、そして急速に進み始めた再生医療に関する最新の研究内容を紹介。さらに最先端の技術であるゲノム編集についても触れ、未来の医療展望について解説しました。
講演台に立つ中村 幸夫 副センター長
二つ目の講演「サイクロトロンが切り拓く未来」(講師:奥野 広樹 仁科加速器科学研究センター 加速器基盤研究部 副部長)では、サイクロトロン(加速器)の原理と開発の歴史について紹介。また、仁科博士がいかに加速器科学を日本に根付かせていったのか、そして現代の加速器科学の社会応用と今後の発展について、軽妙な語り口で解説し、聴衆を沸かせました。
奥野 広樹 副部長による講演
会場は子どもから大人まで96名の参加者でほぼ満席となり、講演後の休憩時間には、聴講者が、講師に次々と切れ目なく質問をされ、久しぶりの講演会は科学熱で盛況となりました。
理化学研究所里庄セミナーは、来年も8月のお盆の頃に開催を予定しています。詳細は決定次第、理研のウェブサイト等でご案内します。ご興味のある方はぜひご参加ください。
関連リンク
- 2023年8月19日イベント「第29回理化学研究所里庄セミナー」