2024年10月5日、世界各国の研究機関の長が集う「第13回世界研究機関長会議(Global Summit of Research Institute Leaders)」が、京都国際会館で開催されました。本会議は「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)」に先立って毎年京都で開催されています。
理化学研究所(理研)と産業技術総合研究所(産総研)の共同ホストによるもので、今回は世界各国の国と地域から23の研究機関の長が参加しました。理研の五神 真 理事長とフランス国立科学研究センター(CNRS)の アントワーヌ・プティ(Antoine Petit) 理事長が共同議長を務め、元駐日スウェーデン大使のステファン・ノレーン氏が司会進行を担当しました。
今年は「研究の卓越性を損なうことなく、エコロジカル・フットプリント[1]を削減する」をテーマとし、CNRSの プティ理事長と米国のローレンス・リバモア国立研究所のキンバリー・S.・ビュデール(Kimberly S. Budil)所長によるプレゼンテーションで幕を開けました。その後、参加者からエネルギーや水の消費量、温室効果ガス排出量、限りある天然資源の利用削減などの対策について述べられ、新たなプロジェクトの計画の際には環境効率に配慮することや、オープンイノベーション、オープンサイエンスを採用することなどのアイデアが出されました。
最後に、共同宣言をまとめ「先進的な研究機関として、より環境にやさしい社会の創造を支援し促進する研究を行うという重要な役割を担っていると認識している。同時に、ネットゼロ[2]を達成する国際な責任を考えると、その目標の達成に役立つ高度な研究を維持しながら、私たち研究機関のエコロジカル・フットプリントを削減するというバランスを達成しなければならない」とし、また、「そのバランスを達成するため、科学的予測によってどのようにその取り組みを成功に導くか」の重要性に言及し、「研究をより持続可能なものにするためのアイデアを共有するための協力」を明言しました。
補足説明
- 1.エコロジカル・フットプリント
一般的には、「人間が地球環境に与えている負荷の大きさを測る指標」として使われる。本会議では、研究活動の地球環境への負荷の意味で使用。 - 2.ネットゼロ
温室効果ガス排出量を実質ゼロにすること。