理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター(仁科センター)は、韓国基礎科学研究院 重イオン加速器研究所[1](IBS・IRIS)と共に、「トップティア研究機関間協力プラットフォーム構築及び共同研究支援事業(以下、トップティア事業)」[2]の本格的な開始を受け、12月16日から2日間、「日韓極限希少同位体科学国際共同研究シンポジウム」をソウル国立大学ホアム・ファカルティ・ハウスで開催しました。これにより、今後10年間に及ぶ予定の日本と韓国の研究機関による元素の起源を明らかにする「極限希少同位体科学国際協力プラットフォーム構築」のプロジェクトがスタートしました。
極限希少同位体科学は、自然界での発見が困難な未知の希少同位体を重イオン加速器を用いて生成し、その性質を探求することで宇宙創成における元素起源の研究や新しい放射性同位体を活用した新物質の生成、半導体や核医学などの応用研究を可能にする原子核物理学の新領域研究課題として期待されています。
同研究課題は2024年7月に韓国政府が行うトップティア事業の新規課題として採択されました。日本側からは主管機関の理研仁科センターの他、東京大学 原子核科学研究センター(CNS)と高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 和光原子核科学センター(KEK IPNS WNSC)が、韓国からは主管機関であるIBS・IRIS、希少原子核研究センター[1](CENS)に加え、ソウル国立大学、高麗大学、韓国原子力研究院が参加します。理研仁科センターの重イオン加速器施設RIBFとIBS・IRISの大規模加速器施設RAON[1]を希少同位体科学の共同研究プラットフォームとして活用し、プロジェクトを推進していきます。
補足説明
- 1.韓国基礎科学研究院、重イオン加速器研究所、希少原子核研究センター
2011年設立の韓国基礎科学研究院(IBS:Institute for Basic Science)は韓国初の基礎科学を専門とする国立研究所で、現在本部には31の研究センターと7の研究所がある。基礎研究において世界を牽引する研究所となり、①長期・大規模な基礎研究の推進、②基礎研究における未来のリーダーの育成、③国際的な基礎研究ネットワークの構築、をそのビジョンとしている。重イオン加速器研究所(IRIS:Institute for Rare Isotope Science)は韓国初の大規模加速器施設RAON(Rare Isotope Accelerator Complex for ON-line Experiments)建設と運用をミッションとして2011年に発足した。また、希少原子核研究センター (CENS:Center for Exotic Nuclear Studies)はRAONなどの大規模重イオン施設での実験研究や関連する理論研究を通じて、希少同位体科学研究を推進するため2019年に設置された。 - 2.トップティア研究機関間協力プラットフォーム構築及び共同研究支援事業
韓国科学技術情報通信部による韓国内の優秀研究機関と世界最高水準のトップティア(Top-Tier)研究機関との間で持続的な協力体制の構築を支援する事業。
2024年度の新規採択課題は4件。そのうち一つの課題が本課題である。