2019年3月6日
東京大学
東北大学
理化学研究所
総合科学研究機構
J-PARCセンター
相転移の狭間に出現する新たな創発磁気モノポール格子
-二つのトポロジカル磁気構造が移り変わる様子を解明-
トポロジカル磁気構造は省エネルギー型の磁気メモリーデバイスへの応用の観点から、その生成・消去の手法に関してさまざまな研究が行われてきました。しかし、異なる二つのトポロジカル磁気構造同士の相転移を実現し、磁気特性・電気伝導特性などを含む多角的な視点からその詳細を観測した例はこれまでに報告されていませんでした。
東京大学大学院工学系研究科の藤代有絵子大学院生と金澤直也講師、理化学研究所創発物性科学センターの十倉好紀センター長らの研究グループは、スキルミオン格子をもつ化合物MnSi(Mn:マンガン、Si:ケイ素)と、創発磁気モノポール格子をもつ化合物MnGe(Ge:ゲルマニウム)に着目し、両者の固溶体であるMnSi1-xGexを合成することに成功しました。更に、理化学研究所の于秀珍チームリーダー、有馬孝尚チームリーダー、有田亮太郎チームリーダー、総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センターの大石一城副主任研究員、東京大学物性研究所の徳永将史准教授、金道浩一教授、東北大学理学研究科物理学専攻の是常隆准教授らのグループと共同で、MnSi1-xGexの磁気構造や物性を大強度陽子加速器施設(J-PARC)物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子小角・広角散乱装置「大観」(BL15)を使用した詳細な実験や、理論計算によって解明し、特に中間組成(x=0.4-0.6)において新しい創発磁気モノポール格子が実現されている可能性を見出しました。
今回の発見は、創発磁気モノポール格子を形成する磁気相互作用に関して新たな知見をもたらすだけでなく、圧力による磁気構造制御の可能性を示唆するものであり、今後の物質開拓や、省エネルギーデバイスへの応用化に重要な指針を与えることが期待されます。
詳細は東京大学大学院 工学系研究科のホームページをご覧ください。
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理化学研究所 広報室 報道担当
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