東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の吉竹悠宇志大学院生(現、明治大学 助教)、太田啓之教授および下嶋美恵准教授らは、理化学研究所 環境資源科学研究センターの泉正範上級研究員、明治大学 農学部 生命科学科の吉本光希准教授らと共同で、リン酸が欠乏した状態にある植物に窒素を過剰に施肥すると、リン酸欠乏ストレスが緩和されることを発見しました。リン酸欠乏下での炭素と窒素の栄養比(C/N比)の増加により誘導されたオートファジーの活性化が重要な役割を担っていることを明らかにしました。
研究グループはリン酸欠乏下で生育したシロイヌナズナで起こる著しい生育抑制が、同時に窒素を過剰に与えると軽減されることを発見しました。これを解析した結果、生育培地中のリン酸濃度が低下した状態で、窒素に対する炭素(糖)の濃度比を低下させると、葉緑体の一部分解を伴うオートファジーが活性化され、その分解で生じたリン酸がリン酸欠乏下の植物生育を回復させることが明らかになりました。
今後、植物生育におけるリン酸、窒素、炭素の栄養バランスがもたらすオートファジー誘導の制御メカニズムを明らかにすることで、新たな栄養欠乏応答のメカニズム解明および栄養欠乏耐性植物の作出方法の開発が期待されます。
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報道担当
理化学研究所 広報室 報道担当
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