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2022年6月6日

国立遺伝学研究所
理化学研究所
科学技術振興機構
総合研究大学院大学

細胞が成長する過程におけるDNAの「ゆらぎ」をとらえた!

-DNAのゆらぎは細胞成長にかかわらず一定だった-

私たちの体は約40兆個の細胞から成っています。この約40兆個の細胞は、細胞周期間期であるG1期、S期、G2期および分裂期のサイクルを数十回繰り返すことで、たった1個の細胞である受精卵から増えたものです。それぞれの細胞の核には生命の設計図であるゲノムDNAが収納されています。近年、細胞核内のゲノムDNAはダイナミックにゆらいでいる(DNAのゆらぎ)ことが明らかになりました。間期には、ゲノムDNAが収納された細胞核は二倍以上に成長し、DNAも複製されて倍化します。しかしながら、この細胞核の成長、DNAの倍化とゲノムDNAの「ゆらぎ」の関係はほとんど分かっていませんでした。

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の飯田史織 総合研究大学院大学大学院生、前島一博教授らのグループは、理化学研究所の新海創也研究員、大浪修一チームリーダーと共同で、光学顕微鏡の分解能を超える超解像蛍光顕微鏡を駆使して、ヒト細胞が成長する過程のDNAのゆらぎを生きた細胞内で観察することに成功しました。これまで、細胞が成長する際の細胞核の成長やDNAの倍化は、DNAのゆらぎなどのふるまいに大きく影響すると考えられてきましたが、本研究によって、DNAのゆらぎは、細胞が成長する際の各過程に影響されることなく一定を保ち続けることが示されました。DNAのゆらぎは、ゲノム情報の読み出しやすさに直結します。DNAのゆらぎが一定であったことから、細胞はDNAに書かれた遺伝情報を常に同じ状況で読み出し、必要な仕事を同じように実行できると考えられます。

一方、ゲノムDNAが損傷すると、DNAのゆらぎは一過的に上昇し、DNAの損傷修復がしやすくなることも明らかになりました。DNAの修復の不全は細胞死や細胞のガン化につながり、関連したヒト遺伝疾患も知られています。本研究の成果によって、このようなDNA修復不全による細胞の異常についての理解が進むことが期待されます。

詳細は国立遺伝学研究所のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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