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2022年12月21日

東京大学
理化学研究所
東北大学

鉄シリコン化合物における室温下の電流誘起磁化反転の実現

-希少資源を使わない省電力な次世代磁気メモリへ-

電子のもつ電気的な性質(電荷)と磁気的な性質(スピン)を同時に利用することによって磁石の状態を電気的に操作する技術は、現代のエレクトロニクスを大きく発展させる要素として注目されています。その中で、スピン状態を電気的に効率よく操作できる物質の探索がこれまで盛んに行われてきましたが、既存の候補物質は重元素の含有を必要とし、材料の観点からは希少性や毒性といった点で課題がありました。地球上に豊富に存在する鉄(Fe)とシリコン(Si)から成る化合物FeSiは、重元素を含有しないにもかかわらず、その表面において電流誘起磁化反転(電流で磁化の向きを反転すること)をはじめとしたスピントロニクス機能を有することが近年発見されましたが、その機能は120ケルビン以下という低い温度でしか実現できていませんでした。

東京大学大学院 工学系研究科の堀 智洋 大学院生、金澤 直也 講師、平山 元昭 特任准教授、理化学研究所 創発物性科学研究センターの十倉 好紀 センター長らを中心とする研究グループは、東北大学 金属材料研究所の塚﨑 敦 教授、藤原 宏平 准教授らの研究グループと共同で、FeSiが有するトポロジカル表面状態が、各種絶縁体を接合することで大きく変調されることを発見し、特にフッ化物絶縁体を接合することにより室温における電流誘起磁化反転を実現しました。

今回の発見によってトポロジカル物性やスピントロニクス機能を、ありふれた元素の化合物でも室温下で実現可能であることが明らかにされました。資源の制約や環境負荷を抑えつつ、電子デバイスの省電力化や高機能化を大きく進展させる次世代MRAMへの応用が期待されます。

詳細は東京大学工学部のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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