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2023年3月7日

大阪公立大学
理化学研究所

極微小バルブで1分子の流れの制御に成功

-化学・生化学合成のパラダイムシフトに期待-

大阪公立大学大学院 工学研究科の許 岩 准教授、川岸 啓人 氏(当時 大阪府立大学大学院 博士後期課程3年)と理化学研究所 生命機能科学研究センターの田中 陽 チームリーダー(当時)、船野 俊一 研究員(現 客員研究員)らの共同研究グループは、ナノ流体デバイスに搭載したナノバルブを外部からの圧力によって開閉することで、溶液中の1分子の流れを制御することに成功しました。

化学反応を用いたあらゆる研究、産業において、分子を機械部品のように直接操作、組み立てることは夢の技術ですが、1分子はソフトボールの約1億分の1程度の大きさと非常に小さく、溶液中では激しく不規則な運動をしているため、直接操作することは極めて困難です。そのような状況の中、直接操作を可能にする手段として、同様にストローの100万分の1の細さという非常に細い流路の中で流体操作が可能な「ナノ流体デバイス」が注目されています。

本研究では、片方にリボンのように薄くて柔らかいガラス板を、もう一方にナノ流路とバルブ機能を持つ微小な構造物を形成した硬いガラス板を使用しデバイスを作製しました。そして、柔らかいガラスに外部から圧力を加えバルブを開閉することで、溶液中の分子1つ1つの流れを直接操作し、制御することに成功しました。また、バルブ内の微小な「バルブナノ空間」に蛍光分子を閉じ込めた場合、蛍光分子から出る光信号を増強させる効果があること、分子の不規則な運動が抑制されることを明らかにしました。

本研究成果は、1分子で物質を自由に組み立てることができる時代の到来の加速に繋がると期待されます。また、本技術の発展により個人の体質に合わせた難病や希少疾患の治療薬等のための医療用材料や、寿命や性能の観点で従来より優れた電池等のための産業用材料などさまざまな分野において有用な手法になると考えられます。

詳細は大阪公立大学のホームページをご覧ください。

報道担当

理化学研究所 広報室 報道担当
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