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理研白眉制度

制度概要

並外れた能力を持つ若手研究者に、研究室主宰者(理研白眉研究チームリーダー)として独立して研究を推進する機会を提供することを目的としています。2017年に創設した制度で、理研白眉研究チームリーダー間の積極的な交流を促すことで、広い視野を持つ国際的な次世代リーダーの養成を目指しています。

2023年度までに13名の理研白眉研究チームリーダーが着任し、活躍しています。

2023年度には、理研白眉制度を拡充した「理研ECL制度(RIKEN Early Career Leaders Program) 」を開始しました。

特色

研究分野

数理科学を含む自然科学全般、及び人文社会科学との境界領域。未着手の研究領域や人類社会が直面する課題など、科学的、あるいは社会的にインパクトの高い野心的な領域。

応募資格

広い層からの逸材を得るため、博士の学位の有無は問わない。

任期

最大7年間。
任期中に産前・産後休業、育児休業等を取得した場合は、規定により、さらに契約期間の延長可能。

研究費

研究計画に応じて1,000万円~4,000万円/年程度。
(研究所の各種施設・機器等を利用可能)

待遇

  • 給与:年俸制で910,000円/月(社会保険料、税込み)
  • 通勤手当:実費、上限55,000円/月
  • 住宅手当:家賃の半額(単身:上限40,000円、家族と同居:上限60,000円)
  • 赴任旅費:支給あり(当研究所規程に基づく)
  • その他:科学技術健康保険組合、科学技術企業年金基金へ加入

研究チーム設置場所

和光地区、及び必要に応じて理化学研究所のいずれかの地区。
※各地区の所在地は「拠点」をご覧ください。

研究者間交流

  • 理研白眉研究チームリーダー間の積極的な交流を促進
  • 理事長との定期的なミーティング

最新の公募

理研白眉制度では、2024年度以降の採用は行いません。 2023年度に白眉制度をさらに発展させ、理研ECL制度を創設しました。理研ECL制度の公募は、4月中旬に開始予定です。

理研白眉研究チームリーダーの紹介

Bartosz Regula

Bartosz Regulaの写真

研究室名

開拓研究本部 Regula数理量子情報理研白眉研究チーム
量子コンピュータ研究センター 数理量子情報理研白眉研究チーム

研究課題

量子リソースの基礎:量子現象の構造と応用の数理

自己紹介

量子情報科学は、古典的な技術を凌駕するような実用的な通信・計算ツールの開発を可能にすると期待されています。これは、量子論の非常に豊かで複雑な構造により、重ね合わせや量子もつれなどいくつかのユニークな性質を利用して、情報操作の能力を向上させることができるためです。他方、この豊かな構造のため、多くの課題が残っています。特に、基礎となる数学的問題が複雑化するため、量子情報を包括的に理解することは古典的な場合よりもはるかに困難です。私は理研において、このような量子論の数学的基礎における複雑さの解明に取り組みます。量子現象の理解を深めるとともに、さまざまな量子リソースの記述を簡略化し、情報処理に有利となる新しいツールを開発することを目指します。(第6期生、2023年4月着任)

桑原 知剛

桑原 知剛の写真

研究室名

開拓研究本部 桑原量子複雑性解析理研白眉研究チーム
量子コンピュータ研究センター 量子複雑性解析理研白眉研究チーム

研究課題

量子多体理論を用いた量子計算機の高速アルゴリズムの開発

自己紹介

私達の生きる世界は単純な法則に従う多数の原子によって構成されていますが、 それぞれの粒子が互いに影響を及ぼし合うことによってこの世界の複雑な構造を作り出しています。量子力学に従う多数の粒子が織りなす現象を取り扱う学問が量子多体理論と呼ばれる分野になります。
では、この世界は情報理論的にはどれくらい複雑な構造を持っているのでしょうか?
この深淵な問いに対し、実験や数値計算はこれまでに様々な「普遍法則の候補」を予想として提唱しています。それらは数学的に美しく、また単純な形で書き下すことができるのですが、数学的に正しいと証明することは並大抵のことではありません。私は長きに渡り未解決であった難攻不落の予想を解き明かし、そこで得られた知見を量子計算機の高速化に応用することを目指しています。(第5期生、2022年4月着任)

藤原 輝史

藤原 輝史の写真

研究室名

開拓研究本部 藤原適応運動制御理研白眉研究チーム
脳神経科学研究センター 適応運動制御理研白眉研究チーム

研究課題

適応的に運動を制御する神経回路機構

自己紹介

私たちはいとも容易にコップを手にとりお茶を飲んだりしますが、コップの形や位置、腕の疲労具合はいつも違うため、その単純な動作には想像を絶する複雑な脳の計算が必要です。精密な運動制御は小さな昆虫でさえ変化する環境を生き抜くために欠かせません。よく観察すると、彼らが数mmほどの神経系の計算のみで機敏に体を動かしていることが分かります。近年、遺伝子モデル昆虫であるショウジョウバエの脳の神経回路網を細胞レベルで解析したり、少数の細胞の活動を自在に計測・操作できる革新的な技術が開発されてきました。それらの最先端技術と1/1000mmスケールで体の動きを捉える独自の行動実験系を駆使し、生物の脳が適応的に運動を制御する仕組みを徹底的に解剖します。(第5期生、2022年11月着任)

関連リンク

Adaptive Motor Control RIKEN Hakubi Research Team Fujiwara Lab

玉置 應子

玉置 應子の写真

研究室名

開拓研究本部 玉置認知睡眠学理研白眉研究チーム
脳神経科学研究センター 認知睡眠学理研白眉研究チーム

研究課題

人間の認知と行動における睡眠中の脳活動の役割の解明

自己紹介

私たちは日々、新しいことを学んだり、閃いたり、行動の選択を行なったりしています。何がこのような思考や行動を影響したり決定づけたりしているのでしょうか?実は覚醒中だけではなく、睡眠中の脳活動が、私たちの思考や行動において、重要な役割を果たす可能性が示唆されています。私は、生理学的な指標、心理物理学実験、ニューロイメージングなど様々の技術を用いて、人の覚醒および睡眠中の脳の活動を調べることで、認知機能における睡眠の役割を明らかにしたいと考えています。(第4期生、2021年4月着任)

関連リンク

認知睡眠学理研白眉研究チーム

森本 裕也

森本 裕也の写真

研究室名

開拓研究本部 森本超短パルス電子線科学理研白眉研究チーム
光量子工学研究センター 超短パルス電子線科学理研白眉研究チーム

研究課題

アト秒電子パルスによる超高速イメージングと化学反応制御

自己紹介

私の研究者としての目標は、物質を構成する原子や電子がミクロな世界で動き、物理・化学反応が起こっている様子を直接観測することです。そのために、電子ビームとレーザーを使用した実験を行っています。私はこれまでの研究で、電子ビームの時間構造をアト秒(10のマイナス18乗秒)の精度でコントロールする手法を開発しました。理研白眉研究チームでは、世界に一つしかないオリジナルな装置を作成し、速すぎてこれまで誰も観たことのない化学反応過程の可視化や、電子ビームと物質間で起こる反応をアト秒で制御することを目指します。最先端の技術を駆使して、化学・物理の基礎過程を原子レベルかつ極限的な時間スケールで探求、解明します。(第4期生、2021年10月着任)

関連リンク

Ultrashort Electron Beam Science RIKEN Hakubi Research Team

濱崎 立資

濱崎 立資の写真

研究室名

開拓研究本部 濱崎非平衡量子統計力学理研白眉研究チーム

研究課題

量子動力学に基づく非平衡多体現象の理解と制御

自己紹介

マクロな非平衡現象を、ミクロな理論である(量子)力学から理解するのは、物理学における非常に深遠な問題です。私は主に「外界から孤立した量子系のユニタリー時間発展を仮定し、熱平衡状態への緩和を説明できるか」という問題に理論的に取り組んできました。今後は、こうした研究で蓄積されたミクロなダイナミクスによるアプローチをヒントに、(外界と接触した開放系を含め)多体系で現れうるより豊富な非平衡現象を理解し、さらにそれを制御するための理論を探求しようとしています。また非平衡科学を通じて、物性物理はもちろん、生物や情報理論など、分野の枠を超えて議論・貢献したいという思いも持っています。(第3期生、2020年4月1日着任)

関連リンク

非平衡量子統計力学研究チーム

川上 恵里加

川上 恵里加の写真

研究室名

開拓研究本部 川上浮揚電子量子情報理研白眉研究チーム
量子コンピュータ研究センター 浮揚電子量子情報理研白眉研究チーム

研究課題

ヘリウム表面上の電子を用いた量子コンピューター及び量子シミュレーション

自己紹介

物理学は、私たちが普段生活している感覚とは一見相反するようにみえる法則で世界を見事に記述しています。私は高校生の時に習ったニュートン力学で、このような物理学の魅力にとりつかれました。大学に入学してからは、量子力学に興味を持ちました。ある2つの状態を同時に取りうる、観測したら状態が変わるなど、自分の感覚からするとあり得ないような量子力学の法則に魅力を感じました。量子力学でないと説明出来ない現象を実験的に測定する時は、毎回、自分の感覚がいかに当てにならなかいものかを思い知り、物事に対して科学的にアプローチすることの大切さを再認識します。このような不思議な法則を上手く利用して、世の中の役に立つような技術を作りたいという思いで、量子コンピューターの実現へ向けた研究をしています。(第3期生、2020年9月1日着任)

関連リンク

FEBQI(Floating-Electron-Based Quantum Information RIKEN Hakubi Research Team)

萩原 将也

萩原 将也の写真

研究室名

開拓研究本部 萩原生体模倣システム理研白眉研究チーム
生命機能科学センター 生体模倣システム理研白眉研究チーム

研究課題

培養環境時空間制御による組織パターンの自律形成制御

自己紹介

細胞周りの微小環境を制御した実験プラットフォームを構築することで、創薬や発生メカニズム解明に繋がる生体機能を体外で再現するための研究を行っています。特に気管支にターゲットを当て、あの複雑な形状がどのようにして自律的に形づくることができるのか、実験とモデルをフィードバックしながら体外で人為的に誘導することで明らかにしようとしています。また、組織間の連関が解析可能な臓器チップの開発も同時に行っており、従来の動物実験を凌ぐ実験解析系の構築を目指しています。自分で面白いと思える研究を、生物・工学・数理情報といった垣根を気にせずに基礎から応用まで取り組んで行きたいと思います。(第2期生、2019年4月1日着任)

武石 明佳

武石 明佳の写真

研究室名

開拓研究本部 武石多感覚統合神経回路理研白眉研究チーム
脳神経科学研究センター 多感覚統合神経回路理研白眉研究チーム

研究課題

多刺激の情報処理を行う神経回路と分子基盤の解明

自己紹介

生き物が行動を決定する仕組みを研究しています。生き物は、温度、匂い、光や音など常に変化する環境因子を感知し、それらの情報を神経回路で統合することで最適な行動を選択します。これまでに、比較的単純な神経系を持つ線虫を用いて、温度を感知する分子メカニズムや神経回路の解明を行ってきました。今後は、同時に多様な環境因子に晒された線虫の行動解析や神経回路の解析を行い、神経系における情報統合メカニズムの解明を目指します。生物学的なアプローチに加え、モデリングなどの物理学的、数学的な手法も積極的に取り入れることで、高等動物にも共通した普遍的な行動決定の情報処理メカニズムを明らかにしたいと考えています。(第2期生、2019年7月1日着任)

関連リンク

多感覚統合神経回路理研白眉研究チーム | 脳神経科学研究センター

榎戸 輝揚

榎戸 輝揚の写真

研究室名

開拓研究本部 榎戸極限自然現象理研白眉研究チーム

研究課題

高エネルギー大気物理学の開拓と次世代の宇宙観測への応用

自己紹介

宇宙や地球の極限的な自然現象は、人類未踏の科学フロンティアです。私は、宇宙で最強の磁石星「中性子星」をX線で観測し、天体物理学の研究を行ってきました。その測定技術を応用し、雷や雷雲という極限自然現象で生じる放射線の研究にも挑戦しています。世界的にも珍しい日本海沿岸の冬季雷を対象に多地点観測網を構築し、雷での光核反応の解明など高エネルギー大気物理学という分野を開拓します。このプロジェクトの理念はCollective Power of Science。単一の巨大装置ではなく、多数の装置を有機的に結びつけ科学成果を出していく発想です。この言葉には、学術系クラウドファンディングやオープンサイエンスも活用し、科学を研究者に閉ざさず、社会との協調のなかで文化として捉えなおしたい想いがあります。この理念を軸に、複数の超小型衛星をスケーラブルに協調運用する新しいX線観測に挑戦し、重力波天文学や系外惑星のテーマも視野に入れた宇宙の研究に応用したいと考えています。(第2期生、2020年1月1日着任)

関連リンク

榎戸極限自然現象理研白眉研究チーム

新宅 博文

新宅 博文の写真

研究室名

開拓研究本部 新宅マイクロ流体工学理研白眉研究チーム

研究課題

サブ細胞解像度シークエンシングを実現するマイクロ界面動電現象

自己紹介

micro/nanoスケールにおける流れおよび物質輸送に関する研究を行なっています。特に電場により生じる流れ、すなわち界面動電現象を利用したマイクロ流体システムを開発し、生化学分析や細胞工学への応用を目指しています。最近、電気穿孔および等速電気泳動を用いて一細胞の細胞質および核を数十秒で分画する技術を開発し、同じ一細胞の細胞質RNAおよび核RNAを次世代シークエンシングで分析することを可能にしました。この技術を用いて細胞内におけるRNAの局在や核-細胞質間の輸送を明らかにすることを目指しています。(第1期生、2018年4月1日着任)

関連リンク

Riken Microfluidics Lab(英語)

Nicholas Parrish

Nicholas Parrishの写真

研究室名

開拓研究本部 Parrishゲノム免疫生物学理研白眉研究チーム
生命医科学研究センター ゲノム免疫生物学理研白眉研究チーム

研究課題

哺乳類における内因性ウイルスエレメントの免疫生物学

自己紹介

生命体のゲノムとウイルス間の相互作用に関心があります。特に免疫反応における“自己”が、どのようにゲノムレベルで確立されるかに非常に興味を持っています。外科の臨床医という私自身の背景もあり、ウイルス感染の防御や治療、また移植臓器など特定の“非自己”に対して免疫寛容を誘導する、といった実用的なイノベーションにつながる新しい知見を探求しています。これまで同僚と共に、生命体のゲノム上に存在するウイルスの配列が、piRNAsと呼ばれるスモールRNAをつくり出すことを発見しました。これによるRNA干渉が、ウイルス感染の予防や改善につながるという仮説を、今後検証していきたいと考えています。長い歴史と刺激的な未来のある理研白眉チームの第一期リーダーに選ばれ、生命医科学研究センターで研究できることを光栄に感じています。2014年に京都で生活したことが、私にとってとても素晴らしい経験となっており、再び日本に戻って妻のエリカと一緒に関東のさまざまな場所を訪れるのを楽しみにしています。(第1期生、2018年8月1日着任)

関連リンク

Parrishゲノム免疫生物学理研白眉研究チーム|生命医科学研究センター(英語)

川口 喬吾

川口 喬吾の写真

研究室名

開拓研究本部 川口生体非平衡物理学理研白眉研究チーム
生命機能科学研究センター 生体非平衡物理学理研白眉研究チーム

研究課題

細胞運命決定と集団運動の非平衡物理学

自己紹介

子供のころから物事の仕組みや成り立ちを知ることが好きで、物理や数学にとても惹かれていました。その後、多様かつ複雑すぎて原理も何もなさそうな生命現象の中に、セントラルドグマのような強烈に普遍的な仕組みが備わっていることを知ってショックを受け、生命科学と物理学の間にいる研究者を目指すようになりました。現在は、細胞分化現象の物理的プロセスや、発生や組織恒常性にかかわる細胞集団挙動の原理の解明に興味があり、実験と理論の両面から研究を進めていきたいと考えています。分野横断的な新しいポジションに採用していただいたことを励みに、面白い研究をたくさんしていきたいと思います。(第1期生、2018年9月1日着任)

関連リンク

生体非平衡物理学研究チーム

問い合わせ

理化学研究所 人事部 研究人事課
〒351-0198 埼玉県和光市広沢2番1号
Email: hakubi [at] riken.jp
※[at]は@に置き換えてください。

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